VAMP NECROPHILIA ANOTHER SEXUALITY
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怪奇映画館

オカルト・悪霊 尼僧ヨアンナ  ローズマリーの赤ちゃん  エクソシスト  ヘルハウス  ポルターガイスト  ポゼッション  シャイニング
サイコ 白い恐怖  サイコ  何がジェーンに起こったか?  コレクター  テナント(恐怖を借りた男)  殺しのドレス  ミザリー  ケープ・フィアー  羊たちの沈黙  ルームメイト  セブン  テシス(次に私が殺される)
バイオ・SF 放射能X  スキャナーズ  遊星からの物体X  トワイライト・ゾーン(超次元の体験)  ザ・フライ  イベント・ホライゾン  エイリアン4   ミミック   CUBE
モンスター・異形 魔人ドラキュラ  フランケンシュタインの花嫁  ジョーズ  ラビッド  ヴァンパイア最期の聖戦  ミディアン
伝承・都市伝説 赤死病の仮面  魔女伝説ヴィー  王女メディア  マクベス  エルム街の悪夢 狼の血族  白蛇伝説  キャンディマン  スノーホワイト  ウィッシュマスター ネクロノミカン
幻想・悪夢 カリガリ博士  顔のない眼  世にも怪奇な物語  血とバラ  ブルーベルベット  ゴシック  乙女の祈り  ロスト・ハイウェイ
カルト アンダルシアの犬  ソドムの市  悪魔のはらわた  イレイザーヘッド  サンタ・サングレ(聖なる血)
スプラッタ・スラッシャー 悪魔のいけにえ  サスペリア2  サスペリア  ハロウィン  死霊のはらわた  フェノミナ  スクリーム
ボディ・屍体 ゾンビ  ヴィデオドローム  戦慄の絆  ヘルレイザー  
B級テイスト 悪魔の赤ちゃん  サンゲリア  ファンハウス(惨劇の館)  ラブ・ブッチャー
番外 ブレア・ウィッチ・プロジェクト

オカルト・悪霊ホラー  戻る

尼僧ヨアンナ(1961)  17世紀フランスで現実に起きた「ルーダンの悪魔憑き事件」をモチーフに作られた。悪魔に憑かれた修道院の尼僧を救うために派遣された神父が、情欲を剥き出しにした尼僧を抱くことで、自らに悪魔を憑かせて尼僧を守ろうとする。派手な演出はないが、全体的に暗いトーンで内省的に描かれているため、不安感があとをひく。映像が印象的なポーランド映画。
 他に「ルーダンの悪魔憑き事件」をモチーフにした作品としては、オルダス・ハスクレーの小説「ルーダンの悪魔」を映画化したケン・ラッセル「肉体の悪魔」がある。こちらはホラーよりエロティシズム色が濃い。
監督:イエジー・カワレロウィッチ
原作:ヤロスロ・イワシケウィッチ
出演:ルチーナ・ウィンニッカ、ミエチスワフ・ウォイト、アンナ・チェペェレフスカ
ホラー度   ★★
グロテスク度 ★★
アート度 ★★★★
ローズマリーの赤ちゃん(1968)  NYマンハッタンの古いアパート(ジョン・レノンが住んでいたことでも有名なセントラル・パークに面した高級アパート、ダコタ・ハウスで撮影された)に越してきた若夫婦。アパートの住人たちは悪魔崇拝者で若妻ローズマリー(ミア・ファロー)は悪魔の子供を身ごもることになる。最初はポランスキー作品に多く見られる登場人物の偏執狂的な妄想の物語に思えるが、徐々に悪魔の存在が明確になっていく過程が怖い。淫靡な悪夢とミア・ファローのエキセントリックな表情がみどころ。
 シャロン・テート事件の首謀者チャールズ・マンソンは、ビートルズの「ヘルター・スケルター」と、この映画にインスパイアされて事件を起こしたと語っている。
監督:ロマン・ポランスキー
原作:アイラ・レヴィン
出演:ミア・ファロー、ジョン・カサベテス
ホラー度   ★★★★
グロテスク度 ★★
アート度 ★★★★
エクソシスト(1973)  悪魔にのりうつられた少女の実話がモチーフの70年代オカルト・ブームの火付け役となった作品。12才の少女リーガン(リンダ・ブレア)に憑いた悪魔を祓うために悪魔祓い(エクソシスト)の神父がふたり登場する。緑色の吐瀉物、360度回転する首、局部に十字架を突き立てる伝説的シーン多数。
 テーマ曲にマイク・オールドフィールドの「チューブラー・ベルズ」の冒頭部分が使われたが、好きなアルバムであっただけに怪奇イメージが定着したのが残念。まだ聴いておられない方は全編通して聴いていただきたい。
監督:ウィリアム・フリードキン
出演:マックス・フォン・シドー、リンダ・ブレア、エレン・バースティン
ホラー度   ★★★
グロテスク度 ★★★
アート度 ★★
ヘルハウス(1973)  「地獄の家」と呼ばれる古い館を調査するために訪れた科学者、霊能力者たちが遭遇する怪異現象。SFXに頼らず、心霊現象をリアルな描写で表現、純粋に恐怖を追及したオカルト映画の秀作。ヘルハウスの謎の主人(ロディ・マクドウォール)が登場するあたりで恐怖は頂点に達する。
 原作者のリチャード・マシスンが脚本も担当。この「地獄の家」「地球最後の男」などの作者であるマシスンは映画に多くかかわり、「トワイライト・ゾーン」「アメージング・ストーリー」や、スピルバーグの出世作となった「激突!」の原作、脚本でも知られる。
監督:ジョン・ハフ 
原作:リチャード・マシスン 
出演:ロディ・マクドウォール、ゲイル・ハニカット、パメラ・フランクリン
ホラー度   ★★★★★
グロテスク度
アート度
ポゼッション(1980)  若妻アンナ(イザベラ・アジャーニ)は夫が単身赴任中に欲求不満から妄想を繰り返し、その潜在意識「イド」を実体化させてしまう。妻の様子を不審に感じた夫(サム・ニール)は探偵を雇い妻を尾行するが、そこには何本もの触手を持つ軟体動物のような怪物と妻の絡み合う光景があった。イザベラ・アジャーニの美しさと彼女が妄想する通りに変態する怪物のグロテスクさがみどころ。不安定に動くカメラワークが不快感を煽る。フランス=西ドイツ映画。
監督:アンジェイ・ズラウスキー 
出演:イザベラ・アジャーニ、サム・ニール
ホラー度   ★★
グロテスク度 ★★★★
アート度 ★★★
シャイニング(1980)  真冬の間の管理人として、小説家のトランス(ジャック・ニコルソン)一家はコロラドの山奥にあるリゾート・ホテルへやってきた。しかし奇怪な事件が次々と起こり・・・実は、前の管理人が狂気にとりつかれて惨殺事件を繰り広げていたのだった。雪に閉ざされて逃げ場のない状況の中で、トランスはいつしか狂気にとらわれてゆく。原作者キングはこの作品を不満としていたが、キューブリック独特の映像美学が極められた傑作であり、ニコルソンの怪演も外せない魅力となっている。
 キング自ら総指揮、脚本を担当した「シャイニング」は1997年TVシリーズとして映像化された。監督はミックウ・ギャリス。
監督:スタンリー・キューブリック
原作・スティーヴン・キング 
出演:ジャック・ニコルソン、シェリー・デュバル、ダニ^・ロイド
ホラー度   ★★★★★
グロテスク度 ★★
アート度 ★★★
ポルターガイスト(1983)  郊外の一戸建てに住む一家にポルターガイスト現象が起こり、娘を襲う悪霊に両親と霊媒師たちが立ち向かう。物語そのものはシンプルだが、霊がテレビの画面から出てくるところが現代的。放送終了後のテレビの画面に不安感のようなものを感じることがあるが、そこに邪悪な霊が棲むといった設定に身近な恐怖が感じられる。スピルバーグのエンターテイメント性とファンタジー性が、トビー・フーパー独特のホラー性を抑え込んでいるような気もするが、アクのなさがかえってメジャーヒットにつながったのかもしれない。三作目の撮影後に子役が急死したことでも話題をよんだ。
監督:トビー・フーパー
製作・スティーヴン・スピルバーグ 
出演:グレイグ・T・ネルソン、ジョベス・ウィリアムス
ホラー度   ★★★
グロテスク度
アート度




伝承・都市伝説ホラー 戻る

赤死病の仮面(1964)  中世イタリアの村や町では死に至る伝染病が蔓延していたが、領主プロスペロー公は伝染病を寄せつけまいと城内に閉じこもり狂気じみた宴を続けていた。そこへ赤い頭巾で顔を覆った一人の男が現れて・・・
 原作の世界を壊すことなく、頽廃的で幽玄な雰囲気作りに成功している。コーマンは他にも「恐怖の振り子」「黒猫の怨霊」「早すぎた埋葬」などのポオ作品を意欲的に映画化しているが、一般的にはこの作品の評価が高い。ニコラス・ローグ(「地球に落ちてきた男」などの監督)の色彩が独特なカメラワークも魅力である。
監督:ロジャー・コーマン
原作:エドガーアラン・ポオ 
出演:ヴィンセント・プライス、ジェーン・アッシャー
ホラー度   ★★
グロテスク度
アート度 ★★★★
魔女伝説ヴィー(1967)  ロシアの文豪ゴーゴリの短編「ヴィー」が原作。若い娘の屍体に憑こうとする妖怪たちと一人の神学者の戦いを描いた物語。ロシアの土着的な雰囲気と、屍体が魔女と化し立ち上がったり異形の群れのSFX(?)が奇妙な味わいをかもす。少女の妖しいまでの美しさと、稚拙だが趣向を凝らした演出が愛すべき作品だ。1985年に劇場公開されるまでは、真夏の深夜TVの定番的作品だった。その頃のタイトルは「妖婆・死棺の呪い」。
監督:コンスタンチン・エルショフ
原作:ニコライ・ゴーゴリ 
出演:ナターリア・ワルレイ、レオニード・クラヴレフ
ホラー度   ★★★
グロテスク度
アート度 ★★★★
王女メディア(1969)  ギリシア神話に登場するコルキス王の娘で魔力を持つメディアの物語。イアソンへの燃えるような恋に落ちた彼女は祖国を裏切り、弟を惨殺し、嫉妬に身を焼いて実の息子たちをも殺した。神話的世界と残酷な魔術的儀式がパゾリーニ独特のエログロかつ美しい映像で幻想的に描かれる。オリエンタルな音楽、そしてオペラ歌手マリア・カラスの迫真の演技、圧倒的な存在感がみどころ。
監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ 
出演:マリア・カラス、ジュゼッペ・ジェンティーレ、マッシモ・ジロッティ
ホラー度   ★★
グロテスク度 ★★★
アート度 ★★★★★
マクベス(1971)  シェイクスピアの「マクベス」がポランスキーの手によって舞台的な制約から解き放たれ、リアルに表現された。三人の魔女にそそのかされて王を弑逆した男マクベスは魔女の予言通り、スコットランドの王となる。しかし、イングランドに逃亡した王子が、軍勢を連れて攻め込んできた・・・
 愛妻シャロン・テートが惨殺されて間もなく撮られた作品だが、ポランスキーは「もっと血を使え!シャロンのときはこんなものじゃなかった!」と叫んだという。荒涼とした城の風景、血なまぐさい雰囲気にサード・イアー・バンドのプログレッシヴ・ロックが効果を倍増させている。
監督:ロマン・ポランスキー 
原作:ウィリアム・シェイクスピア 
出演:ジョン・フィンチ、フランチェスカ・アニス、マーティン・ショウ
ホラー度   ★★
グロテスク度 ★★★
アート度 ★★★★
狼の血族(1984)  グリム童話の「赤ずきんちゃん」をモチーフに、狼と少女のエロティックな関係を描いた幻想譚。「眉毛のつながった男には気をつけるんだよ」と繰り返すおばあちゃんが、少女に話して聞かせる物語と、少女の性への夢が織り交ぜられてダークな童話が展開される。風がカーテンと人形の影を揺らし、少女は扉を閉ざして眠り続け、森は暗く深く少女をみおろすといった印象的なシーンが多数。「ハウリング」などの狼男変身のSFXとは一味違った湿った感じの変身シーンもみどころ。
監督:ニール・ジョーダン 
出演:アンジェラ・ランズベリー、サラ・パターソン、スティーヴン・レイ
ホラー度   ★★
グロテスク度
アート度 ★★★
エルム街の悪夢(1984)  鉄の爪手袋、焼け爛れた顔のフレディ・クルーガーは、人の夢の中に出現して虐殺を繰り広げる。目を覚ませば解放されるが、眠りにおちている間、肉体はフレディの意のままである。しかも夢の中の死は現実へと持ち越される。ナンシーは悪夢の中からフレディの帽子を持ち帰り、夢と現実の境界線が無効になっていることを訴える。そしてナンシーの母がフレディという存在について語り始めた・・・
 フレディの存在そのものよりも、正義という名のもとに地域住民が起こした行為こそが悪夢の共有という恐怖なのかもしれない。
監督:ウェス・クレイヴン  
出演:ヘザー・ランゲンカンプ、アマンダ・ワイス、ジョニー・ディップ
ホラー度   ★★★★
グロテスク度 ★★
アート度 ★★★
白蛇伝説(1988)  若き考古学者アンガスは従妹の家で巨大な頭蓋骨を発見し、領主のパーティー(祖先が大蛇を退治した記念して年に一度開かれる)に出席したことから奇妙な事件に巻き込まれる。
 すべてビデオでとられたという妄想シーンは、どこかグラン・ギニョル的な悪趣味と安っぽさが感じられるが、そこがまた妙なエロティシズムと不気味さをかもしているような気もする。当時はヒュー・グラント人気でのみ観られたような作品だが、アマンダ・ドナホー演じる蛇の化身レディ・シルヴィアの存在感が印象に残る。
監督:ケン・ラッセル
原作・ブラム・ストーカー 
出演:ヒュー・グラント、アマンダ・ドナホー、ピーター・カパルディ
ホラー度   ★★
グロテスク度 ★★
アート度 ★★★
キャンディマン(1992)  都会に暮らす人々の間で語り継がれる都市伝説を研究している女子大生ヘレンは、身近で起こった連続猟奇殺人事件を伝説の殺人鬼キャンディマンの仕業ではないかと推測し調べ始めた。しかし、警察はヘレンを容疑者として追うようになる。真実を探すために彼女は、キャンディマンをよびだす呪文をとなえはじめた・・・
 黒人奴隷が現代に蘇ってという設定、廃墟のような巨大アパートという背景が、都会の悲哀を浮き立たせる。キャンディマンの悲しげな表情、彼の体のグロテスクさ(胸が腐りその空洞に無数の蜂が巣食っている)がみどころ。
 原作はクライヴ・バーガーの「禁じられた場所」。
監督:バーナード・ローズ 
原作:クライヴ・バーガー  
出演:ヴァージニア・マドセン、トニー・トッド、サンダー・バークレイ
ホラー度   ★★★
グロテスク度 ★★★
アート度
ネクロノミカン禁断の異端書(1993)  英・日・米、三人の監督で描かれたラヴクラフトの世界。ガンズの第1話「ザ・ドラウンド」、金子の第2話「ザ・コールド」、ユズナの第3話「ウィスパーズ」、それにプロローグの「ザ・ライブラリー」という構成になっている。
 1932年、ホラー作家ラヴクラフトは死者の掟が記されたという教典「ネクロノミカン」がアメリカの密教寺院の図書館に存在することをつきとめ、その封印をといたが・・・ラヴクラフトの怪奇小説を自らが読むという形式のオムニバス。個人的には金子監督の不老不死を研究する老人の物語がラヴクラフトの頽廃的な雰囲気を引き立たせているので気に入っている。。
監督:クリストフ・ガンズ、金子修介、ブライアン・ユズナ 
原作・H.P.ラヴクラフト
出演:ジェフリー・コムズ、ブルース・ペイン、リチャード・リンチ
ホラー度   ★★
グロテスク度 ★★
アート度 ★★★
スノーホワイト(1997) グリム童話「白雪姫」の物語だが、童話のもととなった民間伝承本来の姿で映像化された作品。
 血塗られた出生のスノーホワイトは、童話のように優しく無垢ではなかった。継母に自らの若さと美貌を見せつけ、父王に色目を使うスノーホワイトに復讐するため継母は黒魔術に傾倒してゆく・・・
 継母を演じるシガニー・ウィーヴァーの特殊メイク、暗くうっそうとした森の陰影などの映像がみどころ。
監督:マイケル・コーン  
出演:シガニー・ウィーヴァー、サム・ニール
ホラー度   ★★
グロテスク度 ★★★★
アート度 ★★
ウィッシュマスター(1997)  「エルム街の悪夢」「スクリーム」などのウェス・クレイヴンが製作総指揮。
 願い事を何でもかなえてあげるが、その代わり・・・魔法のランプの精がモチーフになっていると思われる。
 中近東あたりで発掘された古代の彫像が運び込まれた港でクレーンから落下、封印された邪悪なウィッシュマスターが復活してしまう。甲冑の騎士や数々の異形、SFXなども魅力だが、ウィッシュマスターと戦う女性が再び封印に成功した、その方法も興味深い。
監督:ロバート・カーツマン
製作総指揮・ウェス・クレイヴン  
出演:タミー・ローレン、トニー・クレーン
ホラー度   ★★
グロテスク度 ★★★
アート度




バイオ・SFホラー
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放射能X(1954)  原爆実験の影響で巨大化した蟻が人間を襲うという昆虫パニックもののハシリ的作品。
 40年以上も前の作品なので、SFXは稚拙だが、冒頭の砂漠をさまよう少女のシーンから、巨大蟻がなかなか姿を現さないプロットに緊迫感がある。また、白骨化した屍体や地底の迷路のような巣穴など雰囲気があり、「キリキリキリ」という聴覚効果も恐怖をかもす。
 放射能によって巨大化した生物ホラーが、1953年「原子怪獣現る」(レイ・ブラッドベリ原作)、1954年の「ゴジラ」、そしてこの作品と同時期に製作されたのも興味深い。
 ちなみに、楳図かずおの「笑い仮面」は、この映画に少なからず影響を受けていると思う。
監督:ゴードン・ダグラス 
出演:ジェームズ・ホイットモア、エドマンド・グエン、ジョーン・ウェルドン
ホラー度   ★★
グロテスク度
アート度 ★★
スキャナーズ(1981)  スキャナー(超能力者)を利用するハイテク警備会社。そこの科学者によって、さらに能力を開発された主人公ベイルに与えられた任務は、恐るべき力で世界を支配しようとする裏のスキャナー、レボックをつぶすことだった。スキャナー同士による壮絶な超能力合戦、どろどろした人間関係、そして精巧で迫力あるSFXが大きな魅力になっている。公開実験での頭部破壊シーン、実は兄弟であったレボックとベイルの超能力対決などの映像は凄まじく脳裏に焼きついて離れない。
 「シーバース」「ラビッド」「ザ・ブルード」など以前にもカルト的人気の作品を送り出していたが、世にクローネンバーグの名を知らしめたのは、この「スキャナーズ」からだろう。
監督:デヴィッド・クローネンバーグ 
出演:スティーヴン・ラック、ジェニファー・オニール、マイケル・アイアンサイド、パトリック・マッゲーハン
ホラー度   ★★
グロテスク度 ★★★★★
アート度 ★★★
遊星からの物体X(1982)  1951年ハワード・ホークス監督の宇宙生命体侵略SFホラーの古典「遊星よりの物体X」のリメイク。
 雪に閉ざされた南極のアメリカ観測基地に1匹の犬が迷い込んできたが、犬の体内には生物と同化して体を乗っ取ってしまうエイリアンが巣食っていた。この氷の中から発見されたエイリアンと南極基地隊員との死闘を、よりキャンベルの原作に近づいて作られた。予知できない形態に変化するため隊員たちの心理状態もどろどろとしているが、なんといってもエイリアンの変身シーンが生理的許容範囲を逸脱していて凄まじい。南極の冷たく暗い雰囲気の中でむかえるラストもペシミスティックだ。
 男たちの人間関係と闘い、B級テイストにこだわるジョン・カーペンター独自の美学がみどころ。
監督:ジョン・カーペンター
原作:ジョン・W・キャンベル・Jr  
出演:カート・ラッセル、ウィルフォード・ブリムリー、リチャード・ダイサート
ホラー度   ★★★
グロテスク度 ★★★★★
アート度 ★★
トワイライト・ゾーン超次元の体験(1984)  1959年から5年間にわたって放映されたロッド・サーリング製作のTVシリーズ「トワイライト・ゾーン」(邦題「ミステリー・ゾーン」)のスタイルと雰囲気をそのままに、現代的な素材をマッチさせてスピルバーグが製作。
 古典的な怪談話のプロローグとシニカルな描写の第一話をランディス、老人が子供にかえる第二話をスピルバーグ、超能力を持つ子供世界の恐怖を描いた第三話をジョー・ダンテ、飛行機という密室の中でモンスターの悪夢に出会う男の第四話をジョージ・ミラーがそれぞれ個性的に映像化した。
 個人的には第三話、子供の心象風景が幼い頃の悪夢、残酷なメルヘンにも似て怖かったし、プロローグも原始的だが十分怖かた。TVシリーズと雰囲気が一番似ていたのは第二話かもしれないが、狙いすぎにも思える。第四話は飛行機嫌いの人には辛いだろう。また、第一話の撮影中に、ビッグ・モローが事故死して話題を呼んだ。
監督:ジョン・ランディス、スティーヴン・スピルバーグ、ジョー・ダンテ、ジョージ・ミラー
原作・脚色:リチャード・マシスン 
出演:ダン・エイクロイド、ビッグ・モロー、スキャットマン・クローザース、キャサリン・クィンラン、ジョン・リスゴー
ホラー度   ★★★
グロテスク度
アート度 ★★
ザ・フライ(1986)  物質転送の実験に取り組む天才科学者セス。その装置テレポッドに一匹の蝿が紛れ込んだために悲劇は起こった。50年代SF映画「蝿男の恐怖」(1958年カート・ニューマン)のリメイク。SFXもすばらしいが、蝿男に変貌して行くセスの苦悩、そしてセスを愛してしまった女性記者ベロニカの苦悩、恋人たちの哀しみの描写が、この作品の魅力であるといってもよい。
 もちろん、クローネンバーグならではのディテール描写のリアルさも秀逸で、昆虫の特性が細かくエピソードとしてあげられている。変貌していく過程において、セスとベロニカは結ばれるのだが、彼女が身ごもった子供は、どちらのDNAを受け継いでいるのだろうか。そのあたりの葛藤もみどころである。彼女が夢でうなされた出産シーンのリアルさ。虫が苦手な人は観ないほうがいいかもしれない。
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
原作:ジョルジュ・ランジュラン  
出演:ジェフ・ゴールドブラム、ジーナ・デイヴィス、ジョン・ゲッツ
ホラー度   ★★
グロテスク度 ★★★★
アート度 ★★★
イベント・ホライゾン(1998)  西暦2047年、調査救助船ルイス&クラーク号が海王星への極秘任務に飛び立った。その目的は7年前に海王星で消息を絶った超深度宇宙探査船イベント・ホライゾン号の救助であった。イベント・ホライゾン号のシステム開発者であったウェアー博士も一員として乗り込むが・・・
 宇宙を漂う幽霊船と化したイベント・ホライゾン号に残された殺戮の痕、乗組員たちの悪夢のような幻覚の描写がグロテスクでB級映画的味わいがある。全体的に暗いトーンで、狂気と死がせまってきて、やりきれない気持ちになる。同時期に、同じくワープ航法を題材につくられた「コンタクト」よりも、こちらのほうが好みだ。ウェアー博士を演じるサム・ニールのキレぶりもいい。
監督:ポール・アンダーソン  
出演:ローレンス・フィッシュバーン、サム・ニール、キャスリーン・クインラン
ホラー度   ★★★
グロテスク度 ★★★★
アート度
エイリアン4(1997)  「エイリアン3」(デヴィッド・フィンチャー監督)で、主人公リプリー(シガニー・ウィ-ヴァー)が死んでいるので、まさか続きが作られるとは思っていなかったが、4では、クローンで蘇るという設定になっている。クローンであるリプリーと、クローン技術で彼女が身ごもってしまったエイリアンの死闘が描かれるが、親と子供、非人間の哀しみがにじみでていて、他のシリーズ作とは一味違った作りになっている。
 監督名を聞いたときから、とても楽しみだった。「デリカテッセン」「ロスト・チルドレン」を撮ったフランスのジャン・ピエール・ジュネの色がとてもよく出ている。全体的に退廃的でフリークスの哀しみがヨーロッパ的だ。
監督:ジャン・ピエール・ジュネ  
出演:シガニー・ウィーヴァー、ウィノナ・ライダー、ロン・パールマン
ホラー度  
グロテスク度 ★★★
アート度 ★★★★
ミミック(1997)  次々と子供を死に至らしめるゴキブリが感染源の伝染病がNYで発生。被害が広がるのを防ぐため、昆虫学者スーザンはゴキブリを全滅させるために天敵を作り出した。アリとカマキリの遺伝子を合成した新種の昆虫「ユダの血統」がそれである。伝染病はおさまったが、3年後、NYでは奇怪な猟奇殺人が続発。地下鉄で発見されたという虫は一代で滅びると計算された「ユダの血統」の特徴を持っていた・・・
 「クロノス」のギジェルモ・デル・トロが、また「虫」のホラーを作った。NYの街と地下鉄の内部があたかもゴシック建築のように撮られているのは、メキシコの監督であるからだろうか。虫のグロテスクさから美しさをひきだせたのも、独特の映像美学によるものだろう。虫が苦手な人にはおすすめできない作品だ。
監督:ギジェルモ・デル・トロ
原作:ドナルド・A・ウォルハイム 
出演:ミラ・ソルヴィーノ、ジェレミー・ノーサム
ホラー度   ★★
グロテスク度 ★★★
アート度 ★★
CUBE(1997)  目がさめるとCUBE状の部屋にいた数人の男女たち。何かの陰謀なのか、悪質なゲームなのか、原因をさぐるよりも、とにかくこのCUBEから脱出しなければ・・・閉じ込められた男女は脱出に画策する。
 かなりの低予算で作られたというカナダ映画。アイデア勝負の作品で終わりそうにも思えたが、個々の精神面の描写が緻密で最後まであきさせない。それぞれの部屋にトラップがはってあったり、ある法則によってCUBEが動いていたりするところからは、ダンジョン脱出のゲームや、ルービック・キューブが連想された。エレベーターや密室が苦手という閉所恐怖症の人は怖さが倍増するかもしれない。
監督:ヴィンチェンゾ・ナタリ  
出演:モーリス・ディーン・ウィン、ニコール・デボア、デヴィッド・ヒューレット
ホラー度   ★★★★
グロテスク度
アート度 ★★


サイコ  戻る

白い恐怖(1945)  ある病院に、バランタインという医師が赴任してきた。彼は白地に縞模様を見ると発作を起こす不思議な癖を持っていた。やがて、彼の代わりに来るはずだったエドワーズ博士が、行方不明になるという事件が起こる。そしてバランタインが疑われるが、女医コンスタンスだけは彼の無罪を信じ、発作の原因を追求する・・・
 主人公がみる悪夢シーンの美術はサルヴァドール・ダリが担当。今観ると斬新ではないが、1/4世紀も昔に制作されたと考えるとすごい。精神的外傷を描いたサイコ・スリラーの古典。
監督:アルフレッド・ヒッチコック
原作:フランシス・ビーディング  
出演:イングリッド・バーグマン、グレゴリー・ペック、レオ・G・キャロル
ホラー度   ★★
グロテスク度
アート度 ★★★
サイコ(1960)  会社の金を横領した女が立ち寄ったベイツ・モーテル。そこには管理人の青年ノーマンと離れの一軒屋に住む年老いた「母」がいた・・・
 ヒッチコックの代表作であり、すべてのサイコ・スリラーのルーツである。ノーマンと母が住む家の映像、シャワー室の映像などはパロディ化もされたりして伝説となった。ノーマンといえば神経質風の美青年アンソニー・パーキンスのイメージが強いが、ロバート・ブロックの原作では、照れ屋で親切なメガネをかけた太った男という設定になっている。そしてノーマンの原型は、あまりにも有名な元祖サイコパス、エド・ゲイン。「悪魔のいけにえ」「羊たちの沈黙」などに登場するサイコパスのモデルでもある。
監督:アルフレッド・ヒッチコック
原作:ロバート・ブロック 
出演:アンソニー・パーキンス、ジャネット・リー、ジョン・ギャヴィン
ホラー度   ★★★★★
グロテスク度 ★★★
アート度 ★★★
何がジェーンに起こったか?(1962)  古い屋敷にブランチとジェーンという姉妹が暮らしていた。ジェーンは可愛らしい子役として一世を風靡したが、成長してからはさっぱりで、美しいブランチの下で鬱屈した生活を送っていた。そんなある日、ブランチが事故で半身の自由を失ってしまう。立場の逆転したジェーンは、今までの鬱憤を、陰湿ないじめで晴らそうとする。ブランチは、ジェーンのもとから逃げ出そうとするのだが・・・
 女優姉妹確執モノ(?)の元祖であろうか。ベティ・ディヴィスのサイコな演技がリアルである。海辺のラストシーンも印象的。
監督:ロバート・アルドリッチ
原作:ヘンリー・ファレル  
出演:ベティ・ディヴィス、ジョーン・クロフォード
ホラー度   ★★★
グロテスク度
アート度
コレクター(1965)  蝶のコレクターである若い銀行員フレディは、ある日、フットボールの賭で大金を手に入れ、そのお金で人里離れた別荘を購入する。彼の目的は、若く美しい女性ミランダを自分の標本コレクションの一つとすることだった!麻酔によってフレディに拉致監禁されたミランダ。手を触れるわけでもなく、ただじっと観察を続けるのだが・・・
 フレディとミランダの心理的駆け引きが面白い。ミランダは言う。「あなたの欲しいものはお金?それともセックス?」しかし、フレディの動機はそのどちらでもなかったのだ。有機体ではなく無機体に魅力を感じる青年フレディを、無機質な雰囲気で演じたテレンス・スタンプその人がこの映画の魅力になっていると思う。(ミランダを演じたサマンサ・エッガーのほうが受賞数が多かったのは、時代にもよるのだろうか)
監督:ウィリアム・ワイラー 
原作:ジョン・ファウルズ 
出演:テレンス・スタンプ、サマンサ・エッガー
ホラー度   ★★★
グロテスク度 ★★
アート度 ★★★
テナント・恐怖を借りた男(1976)  古びたアパートに空き部屋を見つけたトレルコフスキーは、前の住人が窓から飛び降り自殺を図った事を聞かされ、その女性シモーヌを病院に見舞い、そこで彼女の友人と名のるステラと知り合う。やがてシモーヌは死に、トレルコフスキーはアパートに越してくるが、部屋にはまだシモーヌの痕跡が残っていたし、向いの窓からこちらを見つめる人物の姿もみられた。わずかな物音でも苦情を言う隣人、口うるさい家主、無愛想な管理人、すべてがトレルコフスキーの精神を抑圧してゆき・・・
 いかにも小心で真面目な男が、隣人たちや自殺したシモーヌの影におびえ、被害妄想を膨らませていくさまは、集合住宅や近所付き合いに疲れている人間にとっては人事ではない。日常に潜む恐怖、不安感を描き出したポランスキーは、自らが異常心理に陥る主人公を好演している。(彼自身の人生も映画以上に数奇であるが)日本ではなぜか劇場未公開。 
監督:ロマン・ポランスキー
原作:ローラン・トポル  
出演:ロマン・ポランスキー、イザベル・アジャーニ、メルヴィン・ダグラス
ホラー度   ★★★★
グロテスク度 ★★★
アート度 ★★★
殺しのドレス(1980)  美術館で出会った男と行きずりの情事を楽しんだ人妻が殺される。事件を目撃した娼婦と、被害者の息子は犯人捜しにのりだすが・・・
 ブライアン・デ・パルマ独特のカメラ・ワークと演出で魅せるサイコ・スリラー。同時にサイコ・スリラーの古典ヒッチコックの「サイコ」へのオマージュでもあろう。ヒッチコックが浴室ならこちらはエレベーターという密室の恐怖。どちらも本当に怖い。異常心理とトランスヴェスタイト(異性装趣味)を同列に語る根拠は何もないが、上の「テナント」といい、このあたりも「サイコ」の影響だろうか。(でもホントにマイケル・ケインって役を選ばない・・・)
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:マイケル・ケイン、ナンシー・アレン、アンジー・ディッキンソン
ホラー度   ★★★★★
グロテスク度
アート度 ★★★
ミザリー(1990)  雪山で事故に遭遇したベストセラー作家を助け出した女性ファン、ミザリー。身動きのとれない作家は彼女のロッジで看護を受けるが、次第にミザリーの異常なファン心理が浮かび上がってくる・・・
 ストーカー心理はファン心理とある部分で重なる。好きなスターのためなら、好きな作家のためなら、すべてを厭わないという心理の奥には、スターを支配したいという欲望がかくされているのかもしれない。「恐怖のメロディ」「ザ・ファン」などの映画もあるが、実際に起こった有名人へのストーカー行為は少なくなく、ジョン・レノン狙撃事件も異常なファン心理が引き起こした悲劇であるといえよう。この映画は「小説」という媒体を通して、異常な心理を浮かび上がらせているところが面白い。キャシー・ベイツのアカデミー主演女優賞は納得である。
監督:ロブ・ライナー
原作:スティーヴン・キング  
出演:ジェームズ・カーン、キャシー・ベイツ、ローレン・バコール
ホラー度   ★★★
グロテスク度
アート度
ケープ・フィアー(1991)  レイプの罪で長い間刑務所に入っていたケイディは、自分を救えなかった弁護士一家に復讐の念を燃やしていた。彼の魔手は徐々に、弁護士の家庭にのびてゆく・・・
 ジョン・D・マクドナルド原作による「恐怖の岬」(1962)のリメイク。マーティン・スコセッシらしい大仰な演出も見られるが、基本的にはオリジナルに忠実に撮られている。全身に怨恨イレズミを施したデ・ニーロの狂気の演技はさすがというしかない。パラノイアックなまでに怨念を積み重ねたサイコパスをリアルに演じている。「タクシー・ドライバー」「ザ・ファン」そして「キング・コブ・コメディ」の危なさぶりには、どこか共感さえおぼえたが、この作品のケイディには得体の知れぬ恐怖を感じる。
監督:マーティン・スコセッシ 
原作:ジョン・D・マクドナルド、ジェームズ・R・ウェッブ 
出演:ロバート・デ・ニーロ、ニック・・ノルティ
ホラー度   ★★★
グロテスク度 ★★
アート度 ★★
羊たちの沈黙(1990)  女性を殺害しその皮を剥ぐという猟奇事件が続発。FBIは、元精神科医の殺人鬼ハンニバル・レクターに示唆を受ける試みを始め、訓練生ながらその任に選ばれたクラリスは獄中のレクターに接触する・・・
 原作はトマス・ハリスの同名小説。前作「レッド・ドラゴン」に登場し鮮烈な印象を残した狂気の天才レクターを再びフィーチャーしている。先にも挙げた猟奇殺人者エド・ゲインをモデルとしたバッファロー・ビルよりも、獄中のレクターのほうが数倍怖いのは、アンソニー・ホプキンスの卓越した演技力と存在感のせいだろうか。クラリスを演じたジョディ・フォスターも、バッファロー・ビルの家で見せた恐怖がこちらにリアルに伝わってきてすばらしかった。アカデミー賞の作品・監督・主演女優・主演男優賞といった主要部門を独占受賞。
監督:ジョナサン・デミ
原作:トマス・ハリス  
出演:ジョディ・フォスター、アンソニー・ホプキンス、スコット・グレン
ホラー度   ★★★★★
グロテスク度 ★★★★★
アート度 ★★★
ルームメイト(1992)  ケンカして同棲相手を追い出したアリーは、経済的理由からルームメイト募集の広告を出した。それを見てやってきたヘディは、アリーとはまったくタイプの違う女性だったが、二人は互いに意気投合する。しかし次第に、へディはアリーの真似をするようになって・・・
 原作はジョン・ラッツの「同居人求む」。女同士でしか起こりえない確執というのか、女性にしかわかりえない不快感というのか、徐々に恐怖を盛り上げていく演出が緻密ですばらしい。次第に「存在」が乗っ取られていく恐怖も現代的なテーマといえるかもしれない。
監督:バーベット・シュローダー
原作:ジョン・ラッツ
出演:ブリジッド・フォンダ、ジェニファー・ジェイソン・リー、スティーヴン・ウェヴァー
ホラー度   ★★★
グロテスク度
アート度
セヴン(1995)  キリスト教の「七つの大罪」になぞらえた猟奇的かつ不可思議な連続殺人事件が起こる。そして殺人鬼を追う老刑事と若い刑事・・・
 ブラッド・ピット人気のためか、日本でも大ヒットしたが、ラストも簡単に見えてしまうし、スリラーというよりは刑事ものといった感じ。ただ、シリアル・キラー、ジョン・ドゥその人についてのエピソードがほとんど語られておらず、動機が「聖書」だというところが不気味である。一見何の特徴もなさそうな男が、神に代わって裁きを行うといった狂信さが怖い。
監督:デヴィッド・フィンチャー 
出演:ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、グヴィネス・パルトロー、ケヴィン・スペイシー
ホラー度   ★★
グロテスク度 ★★
アート度
テシス(次に私が殺される)(1996)  スナッフ(殺人)ビデオを題材にしたスペイン映画。暴力ビデオを論文にまとめようと考えている女子大生が、担当教授を死に至らしめた1本のビデオを入手する。そこに映っていたのは、過去に失踪した同じ大学の女子学生の残酷きわまりない殺人シーンだった・・・
 物語そのものは、謎を追っていくうちに巻き込まれるという展開で、特に目新しくもない。殺人ビデオの映像もあまり映し出されないが、女子大生の脅える表情で間接的に猟奇的ないかがわしさがうかがえる。主役の女子大生は「ミツバチのささやき」のアナ・トレント。ビデオ・マニアの男子学生も面白い味があった。ホラーというよりサスペンス色が強い。
監督:アレハンドロ・アメナバール
出演:アナ・トレント、フェレ・マルティネス、エドゥアルド・ノリエガ
ホラー度   ★★
グロテスク度
アート度 ★★
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