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アルゴー・ノート

Fantasy ★★
Horror
Healing ★★
Eroticism ★★★★


 Story(あるごー・のーと)

 「ミシェル・デュトワ」シリーズ第5作。(完結編?)異母兄ルパートへの複雑な想いや暗い過去を背負った不思議な魅力の美少年ミシェル。彼に出会ったセルジュ、ハル、ジギーたちは、彼に魅了され、そして愛するようになる。

 1972年「ゲッシング・ゲーム」、1973年「バロッコ・コンチェルト」、1974年「ル・コック」、1976年「グリーン・カーネーション」、そして1977年の「アルゴー・ノート」と、約一年に一作のペースで描かれたこのシリーズは、少女マンガで、エロティシズムあふれる同性愛を表現できた初めての作品であったと思う。「アルゴー・ノート」は、ラストの描写がファンの間で物議をかもしたが、ミシェルの運命は読み手の想像にゆだねられ、そして少年と男たちの物語はいつまでも深く胸にきざまれるだろう。



Key Word Origin
アルゴー・ノート ギリシャ神話
 
 ギリシア神話の冒険物語に登場するアルゴー探検隊のこと。
 テッサリアのイオルコスの時期国王はアイソンであったが、弟のべリウスが反逆したため、アイソンは息子の
イアソンをケンタウロスの賢者ケイローンに託し、自らは幽閉された。ケイローンのもとでたくましく成人したイアソンが現れると、ペリアスはこの甥を遠ざけるため、王位を譲る交換条件として、コルキスにある「空飛ぶ黄金の羊の毛皮」を持って帰るようにという難題を出した。
 イアソンはギリシアの英雄を集め、ギリシャ一の大工アルゴスが建造した船アルゴー号に乗り、コルキスへと出発した。メンバーはオルフェウス、ヘラクレス、カストル、ポルックス、予言者としてアポロンの子イドモンなど。
 男のいないレムノス島で多くの子孫を残し、ドリオニア国との誤解による戦い、大嵐、ヘラクレスの脱落、ハーピーを追い払うなどの冒険を重ねて、ようやくコルキスに到着。
コルキス王アイエオスは、黄金の羊の毛皮を渡すかわりに、火を吹く二匹の牡牛にくびきを付け大地を耕し、 アレスの泉の竜の歯を蒔き、そこから誕生した兵士たちを退治しろという難題をつきつけてくる。しかし、イアソンに恋をした王の娘メディアが結婚を条件に助けると申し出て、彼女の手助けでついに黄金の羊の毛皮を手に入れ、ようやく帰路についた。
 帰路にも魔女キルケーやセイレーンに遭遇することになるが、何とか数々の困難を乗り越えてイオルコスへ帰り着く。しかし安穏は訪れず、イアソンとメディアには数奇な運命が待ち受けていた。そして、ついに一人きりになり放浪するイアソンは、海岸で朽ち果てたアルゴー船に出会った。思い出深いこの船で一泊しようとしたが、船は崩れ彼は下敷きになって息絶えた。アルゴー船との運命の最期であった。
 神話や伝説をモチーフにしたタイトルでも、物語はとくに関連がない場合が多い。この作品も、アルゴー・ノートの数奇な運命とミシェルの運命を重ね合わせ、セルジュやハルはミシェルという船に乗った乗組員というイメージが与えられている。こういったタイトルのつけ方にも独特のセンスがあって、山岸凉子さんという作家の非凡さがあらわれていると思う。
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