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海の魚鱗宮

Fantasy
Horror ★★
Healing ★★
Eroticism


 Story(わだつみのいろこのみや))

 父親の十三回忌のため、娘の和美を連れて十二年ぶりに故郷に帰ってきた寿子は、無意識のうちに故郷の海を嫌っていたことに気づく。故郷へ帰る前に夢の中に現れた帽子をかぶった可愛い女の子は、海で溺れ死んだ奈保子ちゃんだったのだ。自分のお気に入りの帽子を海に落とした奈保子ちゃんを許せなくて私が死なせてしまった?しかし、真相は別のところに・・・
 
 故郷の海を背景に、ワイセツ目的の少女殺害事件と、幼い頃の記憶が交錯しあう。可愛いらしい女の子を無意識に遠ざけ、自分の娘に男の子のような格好をさせていた寿子の心理描写も興味深い。



Key Word Origin
海の魚鱗宮 古事記
 
 高天原から、瓊瓊芸命(ににぎのみこと)が下界をおさめるために、猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)に導かれ筑紫(九州)の高千穂峰に天くだった(天孫降臨)。このとき、天照大御神は瓊瓊杵に三種の神器をわたした。
 天くだってのち、瓊瓊芸は美しい木花佐久夜毘売(このはなさくやひめ)と結婚し、火照命(ほでりのみこと)と火遠理命(ほおりのみこと)が生まれた。この兄弟は、海の釣りに長けた海幸彦と山の狩りに長けた山幸彦のことである。
 あるとき、兄弟は自分たちの道具を交換したが、弟の山幸彦は兄の鉤(ち)を魚にとられてなくしてしまう。弟は自分の剣をくだいて千本もの鉤を作ったが、兄は許さず、なくしたを返せという。困った弟の前に塩椎神(しおつちのかみ)があらわれ、籠の舟を指して海の魚鱗宮へ行くように言う。
 海の魚鱗宮についた山幸彦は豊玉姫(とよたまひめ)と出会い、結婚する。も豊玉姫の父が赤鯛の喉から探し出してくれた。山幸彦は地上に戻っても海神に守られて豊かになったが、これを羨んだ兄の海幸彦が攻めてきた。山幸彦は海神からもらった塩満(しおみつ)玉で溺れさせ、塩乾(しおひる)玉で助けた。こうして兄弟はよりをもどした。


 三種の神器

 歴代天皇が、皇位として受け継いできた神器

八咒鏡 (やたのかがみ)

  天照大御神が天岩屋扉にかくれたとき用いられた。
  伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと)が作った。
    
天敢雲剣 (あめのむらくものつるぎ)
  草薙剣(くさなぎのつるぎ)大蛇麁正(おろちのあらまさ)ともいう。
  須佐之男命が八俣之大蛇(やまたのおろち)を退治したときに、その尾から出てきた剣。草薙剣という名は、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東方征伐のとき火攻めにあい授かった天叢雲剣で草を薙ぎ難を逃れたことからつけられた。

八尺勾玉 (やさかにのまがた)

  玉祖(たまのおやのみこと)が作った。



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