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Fantasy |
― |
Horror |
― |
Healing |
★★★★ |
Eroticism |
★ |
Story(このはなさくやひめ)
典子の名前は姉の咲耶が3才のときに命名した。この出来の良い姉は、名前だけではなく、典子の進路まで決めてしまおうとする。中学時代に「古事記」を読んだ典子は、姉の名前の由来である「木花佐久夜毘売」に、見向いてもらえない出来の悪い姉「石長比売」がいるということを知る。典子がグレはじめたのは、それ以来だったのかもしれない。しかし、父の教え子の一人、飛渡圭と心通わせるようになって・・・
美しい木花佐久夜毘売、醜い石長比売という神話のエピソードと、姉妹の確執が重ね合わせて語られる。石長比売のようにはならないという典子の姿勢が前向きで読後感の良い作品。
高天原から天くだった瓊瓊芸命(ににぎのみこと)は美しい木花佐久夜毘売(このはなさくやひめ)に一目惚れし結婚を申し込む。これを光栄と喜んだ父の大山津見神(おおやまつみのかみ)は、姉の石長比売を副えて献上物とともに奉った。しかし、石長比売はたいそう醜かったので瓊瓊芸はこの申し出を断った。大山津見神は嘆いて、「姉の石長比売には石のような永遠の命が約束されておりましたのに。あなたさまの命は花のように短くなるでしょう」と言った。