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実在の吸血鬼たち

吸血鬼伝説について
 The Premature Burial
 エドガー・アラン・ポオの「早すぎる埋葬」のように、仮死状態で埋葬されてのち、息を吹き返し墓から出てきたという実話は各地に多く残っているが、その体験による恐怖が吸血鬼という形に姿を変えたというのも一つの起源といえるだろう。
 The Masque of the Red Death
 同じくポオの「赤死病の仮面」は、恐ろしい疫病の恐怖を幻想的に描いた作品だが、吸血鬼に襲われたものが吸血鬼になるという伝染性は、疫病がその原因であったと考えられないだろうか。青白く生気のない肌、血にまみれた歯茎、充血した目、黒い斑点、そして精神的錯乱を引き起こすといえば、中世に大流行したペスト(黒死病)の症状が思い起こされる。同時に大発生したネズミやコウモリの大群もツジツマがあうのではないだろうか。おそろしい伝染病であるがゆえに、小さな村で発病したものがあれば、伝染を防ぐために屍体を焼き尽くして灰にするしか手だてはなかったというが、これも吸血鬼退治法と似ていないでもない。


実在の人間が「吸血鬼」モデルとなった説

 ヴラド・ツェペシュ
 ブラム・ストーカーの小説、「吸血鬼ドラキュラ」のモデルとなった15世紀ワラキア地方の君主。 戦時中、捕虜の尻から口へいたるまで杭を打ち込み、虐殺をつくしたその風景から「串刺し公」と呼ばれ恐れられた。死んでゆく捕虜たちの苦悶の表情を眺めながら酒宴をひらいたといわれる。(この処刑方法は敵国であるトルコの慣習)

 ちなみに、ヴラドは「竜」という意味で、「竜の子」をドラクル、またはドラキュラという。


ヴラド

 ジル・ド・レエ
 聖少女ジャンヌ・ダルクとオルレアンの戦いで活躍したが、ジャンヌが魔女として処刑後は、ゆがめられた精神のままに、おびただしい数の少年少女を虐殺した。
→詳しくは「チフォージュの森(ジル・ド・レエ)」

 エルゼベエト・バートリ
 17世紀ハンガリーの伯爵夫人。年を重ねるごとに自らの美貌の衰えをおそれるようになり、近隣の若い娘を下男にさらわせ、惨殺し、美を保つために血の風呂に浸ったという。「鉄の処女」や「鉄の籠」といった拷問器具でいたぶり殺す経過も楽しんだ。ようやく虐殺が発覚し幽閉されることになったが、既に六百人以上の若い娘が犠牲になっていた。この「血まみれ伯爵夫人」が、東欧の陰鬱な風土とあいまって女吸血鬼のモデルとされたのかもしれない。

伝承モンスターが「吸血鬼」モデルとなった説
ラミア(ギリシャ)

 美しい女性の上半身に、ヘビの下半身を持つモンスター。子供をさらっては血を吸い食べてしまう。もとはリビアの女王であったがゼウスの子を数人産み、それが女神ヘラの嫉妬をかい、子供たちは皆殺しにされた。そして残された女王が怪物と化したといわれる。

ヴルカラコス
(ギリシャ)

 狼の皮をかぶった人というスラヴ語が起源で、ギリシャでも人狼をさす名だったが、今では吸血鬼とみなされている。

ブルーハ(ポルトガル)

 夜になると怪鳥に変身する女吸血鬼。子供の血を好む。

ウプイリ(ロシア)

 人間の顔をした巨大コウモリ。翼に鋭い爪を持ち、獲物の首を切って血を吸う。人間に変身することもあり、そのときは美しい男か女の姿をとる。

ルガト(アルバニア)

 他のヴァンパイアと同じく、死後吸血鬼として蘇るが、肉体を持たない霊的な存在である。人間の姿などに物体化した場合はククチという。ルガト(ククチ)は人間では倒すことはできず、天敵の狼に弱点である足を噛み切られると、自分の墓に戻りニ度と現れないという。

クイ
(中国)

 好物が子供の血という鬼の姿をした妖怪。

カーリ
(インド)

 半人半獣の女神で好物は子供の血。いけにえとして子供を捧げると財宝のありかを知らせてくれるという。(「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」で邪教の神として描かれていた)

ラングスウィル
(フィリピン)

 猿に似た吸血コウモリ。ジャングルに住み、迷い込んだ人間の血を吸う。

ルウ・ガル
(西インド諸島)

 ゴキブリに似た吸血蟲。姿を見ると目が腐り落ちて、そこから体内に侵入して繁殖するという。


ヴァンプ



 ダンピール 

 ジプシー伝承。吸血鬼と人間の女性の間に生まれた子供で、吸血鬼を退治する特殊能力を持っている。退治法は儀式に近く、走りながら笛を吹き吸血鬼と戦う。(吸血鬼の姿はダンピール以外には見えない)そして退治した後、吸血鬼が滅んだことを高らかに叫ぶという。
 
(ちなみに、吸血鬼と人間の女性が吸血鬼を退治するという設定の映画に「ブレイド」がある)



参考文献

 「ヴァンパイア」 新紀元社

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