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Fantasy |
★★★ |
Horror |
★★★★ |
Healing |
― |
Eroticism |
★★★★ |
Story(あくむ)
21のメイは平穏な生活の中で、奇妙な悪夢を見続けている。しかし、実は彼女の見る夢こそ現実であり、その現実こそ「悪夢=11歳のときに二人の男の子を殺害した罪で終身拘禁」なのであった…!
メアリー・フローラ・ベル事件をもとに、悪夢を描ききった手法がすばらしい。性的妄想、プレゼントの中の世界…閉ざされた空間の中で生きるメイ(メアリー・フローラ・ベル)の心象風景にこれほどふさわしい描写はないのではないか。現実と夢の境目がつかない恐怖、現実よりもさらにエロティックな夢の中…
Key Word |
Origin |
マリー(メイ)・
フローラ・ベル |
メアリー・フローラ・ベル事件 |
「1968年に二人の男の子を殺害した罪にとわれ…」というくだりで、あの有名なメアリー・フローラ・ベル事件だとわかる。
「メアリー・フローラ・ベル事件」
子供の死体が発見されたのは、メアリー・フローラ・ベルが11歳になる前日だった。空き家に忍びこんで遊んでいた二人の少年が、二階に転がっていた死体(マーティン・ブラウン 4歳)を見つけたのだ。死体の横には薬瓶が転がっており、薬で遊んでいるうちに、まちがえて飲んだものとされた。数日後、メアリー・ベルはブラウン家のドアをノックして、マーティンに会いたいと言った。応対に出た母親は驚いて、マーティンは死んだのよと告げた。「知ってるわ。お棺に入ってるとこを見たかったの」
二ヶ月後、同じスラム地区で3歳のブライアン・ハウが行方不明になった。捜索中、メアリー・ベルは妙なことを言いだした。ブライアンは空き地のコンクリート・ブロックの中で遊んでるかもしれないと言うのだ。調べてみると、そこに死体があった。手で首を絞められ、脚と腹に歪んだMの字のような切り傷があった。
アリバイを調べられたメアリーが、犯人以外は知らないことを言ったのが決め手になった。メアリーは二件の殺人で有罪となったが、彼女を引き受ける精神病院が見つからなかったため、特別の学校に送られることになった。
1977年、20歳になったメアリーは刑務所から脱走、少年をひろって一夜を過ごした。3日後に逮捕されて、処女を失ったありさまを日曜紙に語ったときには、自分が正常で、一般社会で暮らせることを証明したかっただけだと主張している。彼女の願いは後に聞き届けられ、現在は結婚して子供もいる。
【参考文献】
「マリー・ベル事件」
ジッタ・セレニー 訳 林弘子 (評論社)
「魂の叫び―11歳の殺人者、メアリー・ベルの告白」
ジッタ・セレニー 訳 古屋美登里 (清流出版)
("マリー"が "メアリー"になっているのは、訳者の古屋美登里さんがカタカナ読みから原音表記に改めたため)
「現代殺人百科」
コリン・ウィルソン 訳 関口篤 (青土社)