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ラプンツェル

Fantasy
Horror
Healng ★★★
Eroticism

 Story(らぷんつぇる・らぷんつぇる)

 幽霊が出るという噂のメロバック家に、若い植物学者オクターヴが下宿することになった。ある夜、オクターヴはどこからともなく聞こえてくる歌声に誘われて、塔の窓に美しい少女の姿を見つける。実はメロバック家の女主人は、死んだ妹の娘ミケティを自分の子供として、呪文のように「おまえは醜いのだから外には出られない」と言い聞かせながら育てていたのだ。オクターヴが女主人に少女の存在を問い詰めると、彼女は出て行けと激怒する。彼は意を決し塔の窓をめざして登りはじめる、ラプンツェルに会いに行く王子のように・・・


Key Word Origin
ラプンツェル グリム童話

 フランスのド・ラ・フォルスの妖精物語「ペルシネット」をフリードリッヒ・シュルツが翻訳、それをグリムが取り上げた。ラプンツェルはチシャ菜(サラダ菜の一種)の意。

 Original Story

 子供を欲しがっていた夫婦の間にようやく子供が生まれることになった。ある日、家の裏に住む年老いた妖精の庭のラプンツェル(チシャ菜)を妻が食べたがったので夫は盗んで食べさせた。妖精はこれを許さず、ラプンツェルの代わりに、生まれた子供を差し出すように言った。女の子が生まれると、妖精はすぐにやってきて、連れ去ってしまった。女の子は「ラプンツェル」と名づけられ、高い塔の上で美しく成長した。塔には入り口も階段もなく、一番上に小さな窓があるだけで、妖精は彼女に見事な黄金の髪を下ろさせて、それを伝って塔に登った。ある時、この国の王子が、塔の近くを通りかかりラプンツェルの存在に気づいた。彼女の美しい歌声と姿に夢中になった王子は、妖精が彼女の髪を伝って登っていることを知り、同じ方法で塔の上に登ることができた。ラプンツェルは恋に落ち王子の子供を身ごもった。このことに気づいた妖精は激怒し彼女の髪を切り、塔から追い出してしまった。そして、たずねてきた王子を塔の上までおびき寄せると、突き落としてしまった。王子は目が見えなくなり、国をさまようことになった。ラプンツェルは、男の子と女の子の双子の子供を産み、森の中で貧しい暮らしをしていた。そこに、王子が通りかかり、ラプンツェルは彼のために涙を流した。すると、王子の目にその涙が入り、目が見えるようになった。

 この作品では、メロバック夫人が年老いた妖精の役回りであるが、彼女はチシャ菜ではなく自分の恋人を実の妹に奪われたという設定になっている。死んだ妹の娘である美しいミケティを「醜い」と言い聞かせながら自分の娘として育てるメロバック夫人の心の中には憎しみだけでなく、愛するものたちに裏切られた悲しみ、そしてミケティへの愛情が複雑にまじりあっていたのかもしれない。

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