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パイド・パイパー

Fantasy
Horror ★★★★
Healing ★★
Eroticism


 Story(ぱいど・ぱいぱー)

 夫の左遷により越してきたM市には、道子の思い出したくない過去があった。自分が放って行ったために、幼い妹が何者かに殺されてしまったのだ。だが、夫の浮気相手もここまでは追ってこないと考えたら、たとえこの呪われた土地であっても、夫婦関係、家族関係を修復できるかもしれないと道子は期待した。しかし、家庭を顧みない夫の浮気は続き、そんな折、幼い娘が行方不明になってしまう・・・

 子供が安心してついていってしまうような人物像を、ハーメルンの笛吹き男の物語と現代の連続幼女殺害事件に結びつけ、人間の狂気を描き出した。同時に、子供には父親が必要だという大義名分のために真実が見えなくなっていた妻が、この事件をきっかけに、女や子供を一個の人格としてとらえられない夫の姿を見つめる勇気を得て自立する姿が印象的だ。



Key Word Origin
パイド・パイパー ドイツ伝承
グリム童話
 ハーメルンの町からネズミを退治するように依頼された「まだら色の服の笛吹き男(パイドパイパー)」は、笛を吹いて見事にネズミを町からおびき出し退治した。しかし、町は男に謝礼を払わなかった。これに怒った男が笛を吹くと、町の子供たちは彼の後についてゆき、誰一人として戻ってこなかった。

 1284年の疫病が流行した時期に行方不明になった子どもたち130人をめぐる伝説と、この年のヨハネとパウロの日(6月26日)に行方不明になった子どもたちの事件、16世紀のネズミ退治男の復讐譚が結びつき、いわゆるパイド・パイパー伝説が形作られ、グリム童話、ブラウニングの詩で世界中に広まった。子どもたちが行方不明になった原因については、少年十字軍説、東ドイツ植民説、事故説などがあるが、いまだに解明されていない。

 ハーメルンはドイツ北西部、ウェーザー河畔に位置する。ウェーザー・ルネサンス様式の白壁造りの家が建ち並び、現在「パイド・パイパーの家」で伝説を描いたフレスコ画を見ることができる。
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