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夢幻紳士−怪奇編−
   の異世界を散策する〜
夢幻魔実也

         寄稿  ぎずななさん
このページのイラストはすべてぎずななさんによって描かれたものです



夢幻紳士こと夢幻魔実也氏には一応(*)、冒険編と怪奇編の2バージョンがある(何れも徳間書店刊)。冒険編の魔実也の属性は帝都の少年探偵、怪奇編は不可思議な力を持った、探偵業も営む青年といった案配である。
*朝日ソノラマ「マンガ少年版(ナマンダブ)夢幻紳士」収録の夢幻君もいるそうだ。
・怪奇編は現在、文庫全5巻が朝日ソノラマから刊行中。今回は徳間書店の「怪奇編」1〜3及び、朝日ソノラマ文庫「夢幻外伝」1〜3で全話を参照した。


高橋葉介氏の作品の中でも夢幻シリーズは特に、読み手に純文学を想起させるというのか、絵柄からして独特の雰囲気が濃厚で、近現代の日本文学に弱い人を陶然とさせる力が存在すると思われる。そこら辺は実際に読んで頂ければ多少はお感じになるのではないだろうか。少し前の純文学に出て来そうな台詞一つとっても、情念を極力潜めて紡がれる淡々としたリズムには恍惚となり得るし、筆で描かれているという人物の輪郭(等)には、余りある情緒が漂っているのではなかろうか。畢竟、高橋葉介の世界に精神的基盤がフィットする人には、長期に渡って惹かれる(浸れる)作品となるに違いない。とにもかくにも、「恐怖」だけに焦点を当てていない所も大変お勧めしたい所以なのである。(作者曰く、「愛」を様々な形で描いている→通して読めば分かるんだぞ!、という訳だ☆(笑) )。

では、怪奇編の各エピソードを以下に極簡単に紹介させて頂こう。
*夢幻君は超常能力者という設定なので、「霊視」「憑く」といったそれ系のアヤシイ単語が登場してもご容赦願いたい。




LIST
          
怪奇編 1  外伝 1
怪奇編 2  外伝 2
怪奇編 3  外伝 3



MY BEST
夢幻魔実也の横顔


「幽霊夫人」怪奇編1巻 

  間男も偶にはいいものなのでしょうね。(*笑;)
   <紳士だから許せるといいましょうか〜(^^ゞ






「サトリ」怪奇編2巻

  これも又”愛”の形ですよね♪ <ヾ(*^^;)
  冒険編とのリンク付けも素敵です。(笑*
  (ご存じかと思いますが、冒険編の方が怪奇編の最初の2コマを   
   真似してます。(^^; )



「昇降機」怪奇編2巻

  哀しい話ですが、HAPPY−ENDが気に入っています。
次点

「半人形」怪奇編2巻

「夜会」怪奇編3巻
外伝 「海鳴りの家」「いないないばあ」共に1巻



怪奇編1

「幽霊船」
 
 大戦前の氷川丸が舞台。夢幻魔実也(以下、夢幻紳士)は図らずも、船客達に憑いた霊と彼らとの因果を見定めていくが・・・。


「老夫婦」

 夢幻紳士が持つ「力」の評判を聞きつけた男。臨終間近の婚約者に、2人が幸せな一生を過ごしたという暗示をかけてから逝かせてやりたい、と紳士にすがるのだが・・・。


「吸血鬼」

 或る少女の依頼で、吸血鬼相手に少女の姉の敵討ちに行く夢幻紳士。だがその結末は少女には哀しいものだった・・・。


「沼」

 金持ちの息子が或る沼の水を欲しがり、用を利いてやった夢幻紳士に打ち明け話しをするのだが・・・。


「幽霊夫人」 ★★★★★

 先輩に、亡き前妻の幽霊の世話を頼まれる夢幻紳士。会う内に心が通い合う様になるが・・・。


「首屋敷」

 一晩、死人の座興に付き合う夢幻紳士であった。(笑)


「針女」

 針を体中に刺して死んだ女の物語。
 *作者曰く「"怪奇編"ではこういう江戸川乱歩調の猟奇変態趣味も入れようと思ったのだが、女性読者が多い様なのでひかえる事にした」そうだ。(笑)  (「怪奇紳士1」徳間書店より)


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怪奇編2

「木精」

 木精(すだま)に憑かれた男と出会う夢幻紳士。男と木精の共同生活に助言を与えるが・・・。


「サトリ」 ★★★★

 雪積もる山奥で暖を求めた小屋に、人心を読む「サトリ」がひっそりと住んでいた。サトリによると、今夜オレを村人が殺しに来る、というのだが・・。


「夢魔」

 いたいけな少女&夢幻紳士の冒険のひととき。


「昇降機」 ★★★

 真夜中のデパートに出没するリフト・ガール(エレベーターガール)。それには深い訳があるのだった・・・。


「蜘蛛」

 「私は十二 名前はさやか」(るん♪)これは後に起きる凶悪事件のプロローグに過ぎなかった・・・。
 #(^^;ゞ



半人形」 ★★

 夢幻紳士が駐車場で拾った少女は身体から「キリキリ」と音がした。奇妙に感じながらも、夢幻紳士は律儀にラストまで少女に付き合うのだった・・。(汗)

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怪奇編3

「花火」

 花火見物にまつわる或る兄妹の物語。この回で、夢幻紳士は何と、花火の幽霊も見えると判明。。。


「鬼」

 浜辺で女性を助ける夢幻紳士。自宅に送ると女性は請われるともなく、「鬼」の話を語るのだった・・・。


「蛇」

 夢幻紳士がちょっとすれた女に聞いた、告げ口をする蛇の物語。


「夜会」 ★★

 白鳥の様に頼りない、白くて美しい細い首を持つ一人の女。何年も前から夢に登場する男に切り裂かれる時を待っていたが・・・。


「人形地獄」(魔実也・初期バージョン)

 帝都探偵の魔実也君。偶然救助された連続少女失踪事件の被害者から情報を得て・・・。


「遠い道」&「虎」

 夢幻紳士とは関係無い二編。「ぼく」な2人が非日常世界を垣間見る。

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外伝1「死者の宴」

「死者の宴」

 精神病院の地下に囚われた希代の殺人者・マッドドクターに面会する夢幻紳士は博士の娘を救おうと画策する。
 #ハンニバル・レクターっ!(・・・・・)


「冥王星」

 前回登場のマッドなドクターが招待する狂気の宇宙世界へようこそ!な作品。


「鴉」

 鴉の集う山奥に倒れていた女を助ける夢幻紳士。有名作家と心中しようとしていたと判明するが、相手の男の真意は他にあった・・・。


「海鳴りの家」 

 「首屋敷」同様、或る夫婦の茶番に付き合う夢幻紳士だった。(笑)
 #ラストのページの台詞がふるっていて武者震い。(笑)


「いない・いない・ばあ」 

 いない・いない・ばあオバケに悩まされる青年。縁あった夢幻紳士が事情を訊くと、原因は幼年期に遡る。


「人でなし」

 一人の男を争う姉妹。2人はそれぞれ水・火を使う術を心得ていた。問題に首を突っ込んだ夢幻紳士は命を危険にさらすのだが・・・。


「ライオン」

 夢幻紳士とは関係無し。プレイボーイは雌ライオンに勝てるのだろうか・・、な物語。結末を知っていた或る少女は夢幻君そっくり。(笑)

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外伝2「夜の劇場」

「化物屋敷」

 知人の記者が持ち込んだ話から、化物屋敷に一泊することになった夢幻紳士。夜中に可愛い少女が登場するのだが・・・。


「言霊」

 訳無く自殺する人々の謎を追う夢幻紳士。或る女の仕業と判明、言霊を引き受けてみたら・・・。


「凶弾」

 或るボンボンのお守りをする夢幻紳士だった。


「夜の劇場」

 理想の相手と相思相愛の男女。邪魔者・黒服の男が登場し、夢幻紳士に助けを請うのだが・・・。


「変化」

 高地だかで蝶の標本を作る不気味な男と遭遇した夢幻紳士。妙な事件に巻き込まれ・・セオリー通り解決するのだった。(汗)


「鳥女」

 父、その次に母を亡くした少女に夢幻紳士が親の「愛」を伝える。


「白髪の女」(原作:岡本綺堂「白髪鬼」

 夢幻紳士は関係無し。東京・神田で下宿する2人の青年。内一人の山岸という青年は弁護士試験に4回落ちるが、それには奇妙な理由があった。

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外伝3「目隠し鬼」

「水妖」

 友人が夢幻紳士の元に寄こした女。実は女が妖怪変化の類か確かめたかった故の行いだった。


「目隠し鬼」

 とある屋敷のお嬢様の遊び相手として請われた少女。しかし、それは恐ろしい罠だった。
 #ちなみにこの作品では夢幻紳士の哀情が窺える、と思う。



「鞄」

 夢幻紳士が無銭飲食している下宿先に新しい下宿人がやって来る。見知らぬ老人が前もって、彼に鞄を渡すよう依頼して来ていたのだが・・・。


「船は行く」

 男に頼まれ、魂を奪われた彼の妻を助ける夢幻紳士だが・・・。


「続・船は行く」

 
前回邪魔をされた怪異の主が仕返しに来る。カウンター成るか?


「泣きぼくろ」

 知人の細君に頼まれ、病床の知人を見舞う。すると、その枕元には女性の姿があった。


「首おくれ」

 台詞のないひととき。首おっくれ♪と迫る妖異の者に為す術はあるのだろうか・・・?


「酒毒」

 知人に呼ばれて行った料亭には水死人がいて・・・。
 #夢幻紳士の台詞が今風だ。時代は変わる(がくっ)。


「黒い天使」

 夢幻紳士こそ黒い・・だ。(汗)


「父の手」

 夢幻紳士は関係無し。
 少女の思い出話が少年を泣かせる感動巨編!、の十頁。(大汗)

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以上で一応の全話を紹介させて頂いた。他、大人向けな『怪談』も夢幻的だが、肝心の紳士がいないので同系列としても割愛する。

*外伝3からは絵が今風に変化している。
 致し方ない現象とは言っても残念なことです。

 夢幻シリーズ復活しないかな♪ <何編でもOK。(笑)
 
(了)


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