VAMP NECROPHILIA ANOTHER SEXUALITY |
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WORKS(MOVIE) WORKS(TV)デヴィッド・リンチ
1946年アメリカ生まれREVIEW NOTE PROFILE DIRECTOR
★は個人的評価です | |||
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1968 | アルファベット | 監督・脚本・製作・音楽 | ― |
4分、16mm、カラー、アニメーション | |||
1970 | グランドマザー | 監督・脚本・製作・出演 | ― |
出演:リチャード・ホワイト、ドロシー・マッギニス、ヴァージニア・メイトランド、ロバート・チャドウィック | |||
34分、16mm、カラー | |||
1974 | 切断手術を受けた人 | 監督・脚本・製作・出演 | ― |
出演:キャサリン・コールスン | |||
5分、ヴィデオ、モノクロ | |||
1976 | イレイザーヘッド | 監督・脚本・製作 | ★★★★★ |
出演:ジョン・ナンス、シャーロット・スチュワート、アレン・ジョセフ、ジーン・ベイツ、ローレル・ニア、ダーウィン・ジョストン | |||
悪夢的世界がモノクロの美しい映像で描かれる。 ストーリーとレビューは⇒こちら |
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1979 | 鼓動 | 出演 | ― |
監督:ジョン・バイアラム | |||
画家の役で特別出演。 | |||
1980 | エレファント・マン | 監督・脚本 | ★★ |
出演:ジョン・ハート、アンソニー・ホプキンス、アン・バンクロフト、ジョン・ギールグッド、ウェンディ・ヒラー、フレディ・ジョーンズ、キャスリーン・バイロン、ハンナ・ゴードン、フレデリック・トレヴェス | |||
19世紀末ロンドンを舞台に、「象人間」と呼ばれた奇形の男ジョン・メリックと、主治医の交流を描く。観客の反応は大きく二つに分かれた。 | |||
1984 | デューン(砂の惑星) | 監督・脚本 | ★★★ |
原作:フランク・ハーバート 音楽:ブライアン・イーノ、TOTO 出演:カイル・マクラクラン、ホセ・ファーラー、ポール・スミス、フランチェスカ・アニス、スティング、ユルゲン・プロフノウ、シアン・フィリップス、フレディ・ジョーンズ、ディーン・ストックウェル、リチャード・ジョーダン、ケネス・マクミラン、エヴェレット・マッギル、マックス・フォン・シドー、ブラッド・ドゥーリフ、リンダ・ハント、ヴァージニア・マドセン、シルヴァーナ・マンガーノ、ジャック・ナンス、パトリック・スチュワー、ショーン・ヤング |
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フランク・ハーバートの長編SFを映画化。デューンと呼ばれる砂漠の惑星アラキスを舞台に、覇権をめぐって繰り広げられる勢力争いを描く。リンチ作品の顔ともいえるカイル・マクラクランが初登場。 | |||
1986 | ブルーベルベット | 監督・脚本 | ★★★★ |
出演:カイル・マクラクラン、イザベラ・ロッセリーニ、デニス・ホッパー、ローラ・ダーン、ホープ・ラング、プリシラ・ポインター、ディーン・ストックウェル、ジョージ・ディッカーソン、ブラッド・ドゥーリフ、ジャック・ナンス | |||
ボビー・ビントンの歌う「ブルー・ベルベット」を背景に、暴力、SMにからむ奇怪な登場人物。のちの「ツインピークス」へと続くリンチ独特の世界がうかがえる。冒頭シーンからデニス・ホッパーのヘンタイぶりまで一つの雰囲気の中におさめてしまうリンチのカメラは凄い。 | |||
1988 | ゼリーと私 | 出演 | ― |
監督:ティナ・ラズボーン 出演:イザベラ・ロッセリーニ、グリニス・ジョンズ、アレクサンドラ・ジョーンズ |
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当時の恋人であったイザベラ・ロッセリーニと出演 | |||
1990 | ワイルド・アット・ハート | 監督・脚本 | ★★★★★ |
原作:バリー・ギフォード 出演:ニコラス・ケイジ、ローラ・ダーン、ウィレム・デフォー、イザベラ・ロッセリーニ、ダイアン・ラッド、シェリリン・フェン、シェリル・リー、ハリー・ディーン・スタントン |
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アメリカ南部に住む若いセーラーとルーラは、2人の愛を妨げようとするすべてから逃れてカルフォルニアへの旅に出る。娘に異常な執着をしめす母は、執拗な追っ手を送り込み、2人を引き裂こうとするが…。やはりまともな登場人物が出てこないリンチ・ワールド。 | |||
1991 | キング・オブ・アド | 監督 | ― |
映画監督たちの演出による傑作CM集。 他の監督は…ヒュー・ハドソン、リドリー・スコット、マーティン・スコセッシ、セルジオ・レオーネ、クロード・シャブロル、ジャン=リュック・ゴダール、フェデリコ・フェリーニ、ロマン・ポランスキー、ジャン=ジャック・ベネックス、クロード・ルルーシュ、ニキータ・ミハルコフ、ダリオ・アルジェント。相当たるメンバー。 |
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1991 | イレイザーヘッド[完全版] | 監督・脚本・製作 | ★★★★★ |
リンチ自らサウンドトラックを再編集したドルビーステレオ版。 | |||
1992 | ツイン・ピークス (ローラ・パーマ最期の7日間) |
監督・脚本・製作総指揮 | ★★★ |
出演:シェリル・リー、レイ・ワイズ、ダナ・アッシュブルッ、ジェームズ・マーシャル、メッチェン・エイミック、ペギー・リプトン、カイル・マクラクラン、デヴィッド・ボウイ、キーファー・サザーランド、ハリー・ディーン・スタントン、ミゲル・ファーラー、ユルゲン・プロフノウ、モイラ・ケリー、ヘザー・グレアム | |||
TVシリーズ「ツイン・ピークス」のローラ・パーマー殺害事件に焦点を当て、その隠された謎を描いた作品。TVシリーズでは登場しなかったD・ボウイ、キーファー・サザーランドが出演。 | |||
1994 | クラム | 製作 | ― |
監督:テリーズ・ウィコフ 出演:ロバート・クラム、アリン・コミンスキー、チャールズ・クラム |
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1943年に生まれた「フリッツ・ザ・キャット」で知られるコミック作家のロバート・クラムが自らを語るドキュメンタリー映画。 | |||
1994 | デューン(砂の惑星)[特別篇] | 監督・脚本 | ★★★ |
映画ファンにはおなじみの「アラン・スミシー」監督名義。完全版は4時間半にもおよぶが、こちらは3時間10分。カット作業を自らの手で行わなかったので別名義にしたらしい。砂漠の民についての詳細な描写がみられる。 | |||
1995 | キング・オブ・フィルム (巨匠たちの60秒) |
監督 | ― |
19世紀末にリュミエール兄弟の手によって誕生した映画撮影用カメラ「シネマトグラフ」を使って製作された異色のオムニバス。ヴィム・ヴェンダース、ジャック・リヴェット、スパイク・リー、ジェームズ・アイヴォリー、ピーター・グリーナウェイら40名の監督が52秒以内に独自の世界を創りあげる。総監督はサラ・ムーン。
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1995 | ナディア | 出演・製作総指揮 | ★★ |
監督:マイケル・アルメレイダ 出演:ピーター・フォンダ、エリナ・レーヴェンソン、マーティン・ドノヴァン、デヴィッド・リンチ、スージー・エイミス、ギャラクシー・クレイズ、ジャレッド・ハリス |
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ニューヨークを舞台にしたヴァンパイア・ストーリー。女ヴァンパイアとその双子の弟、ヴァンパイア・ハンター、ヘルシング医師たちとの葛藤がモノクロの映像で描き出される。 | |||
1997 | ロスト・ハイウェイ | 監督・脚本 | ★★★★★ |
出演:ビル・プルマン、パトリシア・アークエット、バルサザール・ゲティ、ロバート・ブレイク、ロバート・ロジア、ゲイリー・ビューシイ、リチャード・プライアー、ジャック・ナンス、ジョヴァンニ・リビシ | |||
妻と平凡な生活を送る、サックス奏者のフレッド。ところがある日、謎のメッセージがインターホンごしに届く。やがて一本のビデオ・テープが送られてきて…。 リンチいわく「サイコジェニックフーガ(心因性記憶喪失)映画」。リンチ世界にハマっていなくても不条理世界を満喫、悪夢にうなされること間違いなし。 |
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1999 | ストレイト・ストーリー | 監督 | ★★ |
出演:リチャード・ファーンズワース、シシー・スペイセク、ハリー・ディーン・スタントン、ジェームズ・カダー、ウィリー・ハーカー、エヴェレット・マッギル | |||
アイオワ州に住む73歳のガンコ老人アルヴィン・ストレイトは、10年来仲違いをしていた兄が心臓発作で倒れたという知らせを受け、兄に会うため、たったひとりで時速8kmのトラクターで旅に出ることになった。実話をもとに作られたロード・ムービー。個人的には「ワイルド・アット・ハート」のほうが好みだが、どちらもおもしろく撮れるリンチは凄い。 | |||
2001 | マルホランド・ドライブ | 監督・脚本・製作総指揮 | ★★★★★ |
出演:ナオミ・ワッツ、ローラ・エレナ・ハリング、 ジャスティン・セロウ、アン・ミラー、ダン・ヘダヤ、マーク・ペレグリノ、ブライアン・ビーコック、ロバート・フォスター | |||
「ツイン・ピークス」のようにTVシリーズとして企画されたが、その過激さからTV側から敬遠されていた。そして2001年新しく劇場版として甦った。 ストーリーとレビューは⇒こちら |
WORKS(TV&MORE)
1980 インダストリアル・シンフォニーNo.1 監督・製作・作詞 ジュリー・クルーズの舞台 1988 ウィーズ(ジョン・ハンコック監督) 挿入歌の作詞 音楽 バダラメンティ 1988 カルヴァン・クラインの香水CM 監督 1989 カウボーイとフランス男 監督 5人の映画監督が「フランス文化」という共通のテーマで、それぞれ独自の視点で撮りあげたTV映画「パリ・ストーリー」の第2話。他の監督はヴェルナー・ヘルツォーク、アンジェイ・ワイダ、ルイジ・コメンチーニ、ジャン=リュック・ゴダール。相当たるメンバーだ。 1989 ツイン・ピークス 製作総指揮 出演:カイル・マクラクラン、マイケル・オントキーン、ジョアン・チェン、パイパー・ローリー、シェリル・リー、シェリリン・フェン、ダナ・アッシュブルック、ジェームズ・マーシャル、ララ・フリン・ボイル、メッチェン・エイミック、ラス・タンブリン、リチャード・ベイマー、ペギー・リプトン、ジャック・ナンス、エヴェレット・マッギル アメリカ北部の小さな田舎町ツイン・ピークス。町一番の人気者だった女学生ローラ・パーマーが死体で発見された。その地方で起きていた連続殺人との関係からFBIは特別捜査官クーパーを派遣。クーパーは地元の保安官たちの協力を得て捜査を開始する…。カルト的人気を博したTVシリーズの第1作スペシャル。 1990 ツイン・ピークス1〜14 監督 出演:カイル・マクラクラン、マイケル・オントキーン、ジョアン・チェン、パイパー・ローリー、シェリル・リー、シェリリン・フェン、ダナ・アッシュブルック、ジェームズ・マーシャル、ララ・フリン・ボイル、メッチェン・エイミック、ラス・タンブリン、リチャード・ベイマー、ペギー・リプトン、ジャック・ナンス、デヴィッド・ワーナー TVシリーズの第1話から最終第29話まで。
登場人物の描き方が秀逸。ダークなドラマ展開、日常にぽっかりとあいた異世界へと連れ去られる感覚。最終話はかなり怖かった。1990 ウィキッド・ゲーム 監督 クリス・アイザックのミュージックビデオ。「ワイルド・アット・ハート」の挿入曲。
MTV最優秀ビデオ。メイル・ヴォーカル賞を受賞。MTV授賞式ではリンチは中継で挨拶。1990 ハリウッド・メイヴァリスク 出演 ハリウッドの「はぐれ者」にインタビューしたドキュメンタリー。
他に、ポール・シュレイダー、ピーター・ボグダノヴィッチ、サミュエル・フラー、デニス・ホッパー、フランシス・フォード・コッポラ、ロバート・デ・ニーロ、オーソン・ウェルズ、サム・ペキンパー、ロバート・アルトマンetc.製作はなんと日本のNHK。1990 アメリカン・クロニクルズ 製作総指揮 30分枠13回の紀行番組。
ナレーターはリチャード・ドレイファス。1990 ツイン・ピークス&コップ・ロック(エリック・ストルツ監督) 出演 2つの人気TVシリーズの撮影の裏側を追ったドキュメンタリー。 1991 オン・ジ・エアー1〜3 監督・脚本・製作総指揮 監督:レスリー・リンカ・グラッター、ジャック・フィクス
出演:ミゲル・ファーラー、イアン・ブキャナン、デヴィッド・L・ランダー、マーラ・ジャネット・ルビネフ、ナンシー・ファーガソン、メル・ジョンソン・Jr、マーヴィン・カプラン1957年ニューヨーク、ゾブロトニック・テレヴィジョン・ネットワーク最大の人気番組「レスター・ガイ・ショー」を舞台に設定。30分7話。ABCワールドヴィジョン・エンターテイメントのために製作。 1991 マイケル・ジャクソンの「ディンジャラス・ツアー」 製作 プロモーション用ティーザー(商品を隠したり、小出ししたりして興味をあおる媒体) 1991 日本企業(ジョージア缶コーヒー)のCM 監督 全部で4種類。ツインピークスのレギュラーメンバーが多数出演。(「明日があるさ」版の元祖?) 1991 ニューヨーク市のネズミ駆除キャンペーン公共CM 監督 1992 リンチのホテル・ルーム 監督・製作 あるホテルの603号室に、入れ替わり登場する3組の登場人物からなる3つのストーリー。 1992 ジョルジオ・アルマーニの香水CM 監督 1992 イヴ・サンローランの香水CM 監督 1992 アメリカの製薬会社CM 監督 1993 パスタ(バリラ)のCM 監督 1993 アディダスのCM 監督 1993 乳がんの公共CM 監督 1993 ジル・サンダーのCM 監督 1994 カール・ラガーフェルドの香水CM 監督 1995 日本人ミュージシャンYOSHIKIのプロモーション・ビデオ 監督
REVIEW笑える映像(イレイザーヘッドを中心に) 不安の愉しみ(マルホランド・ドライブを中心に)
NOTE
マーク・フロスト 全米で人気のTVシリーズ「ヒル・ストリート・ブルース」の脚本家として活動を開始。89年にリンチと出会い、Lynch/Frostプロダクションを設立し「ツイン・ピークス」を発表。 アンジェロ・パダラメンティ CFの分野で活躍していたが、「ブルー・ベルベット」からリンチ作品の音楽を手がける。「ツイン・ピークス」作曲、「インダストリアル・シンフォニーNo.1」上演、そしてペット・ショップ・ボーイズなどのMTVも手がけている。 ジュリー・クルーズ パダラメンティによって、「ブルー・ベルベット」挿入歌「ミステリー・オブ・ラブ」の歌手に抜擢。「ウィーズ」挿入歌、「インダストリアル・シンフォニーNo.1」の舞台、「ツイン・ピークス」(出演も)[夢の涯てまでも」(ヴィム・ヴェンダーズ監督)の挿入歌。 クリス・アイザック 俳優・歌手。「ワイルド・アット・ハート」の挿入歌「ウィキッド・ゲーム」でMTVビデオ大賞の最優秀ビデオ・メイル・ヴォーカル賞を受賞。
PROFILE
1946年1月20日アメリカ、モンタナ州の大学都市ミズーラに生まれる。父は麦畑の農場主の息子で農林省の樹木成長調査研究員。母はブルックリンから来た学生。二人はデューク・ユニバーシティで出会い、結婚。リンチは少年期をミズーラ、ワシントンのスポーケンで過ごし、アイダホに引っ越した後に、ワシントンDC近郊にあるウァージニアのアレクサンドリアに落ち着いた。
幼いころから漠然と画家になりたいと思い始めるが、どうすれば画家になれるのか分からずにいた。13才のある時、絵の教師ブシュネル・キーラーに出会い、覚醒。アレクサンドリアのハモンド・ハイ・スクールに入学するが、同時にワシントンDCにあるアート学校のコースも受講。1964年に卒秦した後、3年間の滞在予定でヨーロッパに渡るが、マクドナルドから7千マイルも離れた国にいることにいらだちを覚え、15日間で帰国。65〜69年までフィラデルフィアのアート学校で絵画を学んだ後1年間ボストンのアート学校に通った。エドワード・ホッパーの師としても知られる画家ロバート・ヘンリーの著書「The Air Spirit」に影響され、その書に記された「結婚せず、家庭を持たない、だがスタジオとモデルを持ち、コーヒーをたくさん飲み、たぱこを吸い、夜中に仕事をする」というアート・ライフを実践した。
この後、表現主義に魅せられ、創造的なものの表現手段として、短編映画「アルファペット」(1967)を作った。
この頃、死体公示所の隣で「イレイザーヘッド」の装置さながらの不気味なアパートに、妻の兄でもあるジャック・フイスク(「イレイザーヘッド」にも出演。シシー・スペイセクの夫)と同居。近くには「耳が拾えそうな」草むらもあった。
1970年にロサンゼルスに移り、奨学金を得てアメリカン・フィルム・インスティチュートにて映画を学び始める。フィラデルフィアとは対象的な太陽の降り注ぐこの地は、様々な面で彼に変化をもたらした。
そして、34分の短編「グランドマザー」を監督。72年より初めての長編「イレイザーヘッド」の製作を開始するが、リハーサルを実生活にまで持ち込んだため、離縁される。学校の援助金も切れて、製作費のために週48ドルで新聞の配達を始め、映画のセット(あのアパート)で夜を過ごした。完成後の76〜78年にかけて未だに製作のめどがたたないプロジェクト「ロニー・ロケット」の脚本を執筆するが、ハリウッドからは見向きもされなかった。
1977年「イレイザーヘッド」が小規模に公開され、78年にはペン・パレンホルツ(最近ではコーエン兄弟作品を手がけている)のプロデュースにより「ロッキー・ホラー・ショー」などと並んで、Midnight Movieのレパートリーとなり、カルト・ムーヴィーの殿堂入り。フランスのアボリアッツ映画祭でも大盛況となる。この年に「新サイコ」「サイレント・ムービー」でのっていたコメデイ映画の監督メル・プルックスはこれを観るなり映画化を取得していた「エレファント・マン」の監督に要請。ちなみに、ブルックスはリンチに会った時の印象を「火星から来たジミー・スチュアート」と表現した。
完成した「エレファント・マン」は80年アボリアッツ映画祭にて上映され特別賞を受賞。まず、この映画祭に出品したこと自体、はなからヒューマニズムの泣かせ映画のつもりではないということがわかるが、10月のロードショウ公開で、英米で大賛辞。これにあわせて「イレイザーヘッド」も拡大公開され一躍その名をとどろかせた。また、翌年のアカデミー賞では無冠に終わったものの、監督賞を含め8部門の候補となって、世界的に大ヒット。特に日本では、ヒューマニズムを前面に押し出した大宣伝によって連日立ち見の大ヒットを記録した。数ヵ月後に公開された「イレイザーヘッド」の存在もふっとばす勢いで。
この後、ジョージ・ルーカスより「スターウォーズ/ジェダイの復讐」の監督以来を受けるが、コッポラのゾエトロープ・スタジオで、念願の「ロニー・ロケット」の準備を始める。しかし、コッポラ作品の数々の興行的失敗で倒産。スタジオ売却となり頓挫。
82年、ディノ・デ・ラウレンティスの依頼で、フランク・ハーバートのカルトSF小説「デューン/砂の惑星」の映画化を引き受ける。映画化不可能とされたこの小説を、2年の歳月と4500万ドルという巨額の製作費をかけて完成させるが、製作費を回収するほどの興行的成功にはいたらなかった。
しかし、デ・ラウレンティスは彼の才能を信じ、続いて「ブルー・ベルベット」を製作。前作とは正反対に低予算の小品となり、大都市のみの限定公開が功を奏し、86年もっともスキャンダラスな話題作として大成功をおさめた。そして2度目のアカデミー賞候補となった。
この成功の後、再度デ・ラウレンティスの製作で、D.M.トマスの「ホワイト・ホテル」の映画化にとりかかるが、倒産のため頓挫。続くトマス・ハリス原作の「レッド・ドラゴン」は降板した。この後、画家としての活動をはじめ、恋人のイザベラ・ロッセリーニの主演作「ゼリーと私」にゲスト出演。また「Interview」誌に写真を発表、作詞家、プロデューサーとして作曲家アンジェロ・パダラメンティと共同でジェリー・クルーズらのアルバムを制作したりと、マルチ・アーティストぶりを発揮した。また、その映像感覚はCF界にもおよび、香水「Opium」「Obsession」などを手がけた。
89年はフランス製作のTVオムニバスに参加。続いて「ヒル・ストリート・ブルース」の脚本で名をあげたマーク・フロストと共同で「Lynch/Frost Production」を設立。アメリカABCで「ツイン・ピークス」を発表し、TV界で久々に大きな話題を集めた。そしてカンヌ映画祭に4年ぶりの映画「ワイルド・アット・ハート」を出品。見事最高栄誉であるパルム・ドールを受賞。全世界の注目を一身に集めた。91年に東高現代美術館における個展のため来日した。
賞歴 エレファント・マン アカデミー賞(監督賞)(脚本賞)ノミネート ブルーベルベット アカデミー賞(監督賞)ノミネート LA批評家協会賞(監督賞)受賞 ワイルド・アット・ハート カンヌ国際映画祭 (パルム・ドール)受賞 マルホランド・ドライブ アカデミー賞(監督賞)ノミネート カンヌ国際映画祭(監督賞)受賞 NY批評家協会賞(作品賞)受賞 LA批評家協会賞(監督賞)受賞 参考文献 デヴィッド・リンチ各映画の劇場用パンフレット
「デイヴィッド・リンチ」(フィルムアート社)
「銀星倶楽部デヴィッド・リンチ」(ペヨトル工房)
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