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キメィラ

Fantasy
Horror ★★★
Healing
Eroticism ★★


 Story(きめぃら)

 郊外の女子大で寮生活を始めることになった磯村さんのルームメイトは、体育科の鈴木翔さん。ボーイッシュな翔さんに磯村さんは魅力を感じてしまうが、翔さんは彼女をはじめ人付き合いには積極的ではなく、動植物に対してだけ異常なほど愛情を注ぐのだった。そんなおり、近隣で老人を狙った殺人事件が続発する。そして彼女たちの大学のコーチも何者かに殺害されて・・・

 両性具有者の成長過程における混乱が、山岸流に描かれた作品。猟奇事件が語られる中で、翔さんの心理状況に胸が痛くなるのは、山岸作品独特の饒舌キャラ、磯村さんに感情移入できたからかもしれない。こういったキャラクター設定の妙も山岸さんならではである。



Key Word Origin
キメィラ ギリシャ神話
 
 三種類の動物が一つの体に同居した合成獣。人工的に作り出されたレオポンなどの動物をキメィラ生物と呼ぶのも、山岸作品にも出てくる「半陰陽」の性をキメィラ状と呼ぶのも、この幻獣の特徴からである。
 三種の動物は、諸説あるけれども、ライオンの頭と胴体、それに山羊の頭と蛇の尾、というのが代表的。伝説の歴史は古く、紀元前五世紀には像がつくられていたという。ヒッタイト人の間では聖獣として崇められていたが、ギリシャ神話ではモンスターと化し、キメィラ退治の話も出てくる。リュキアス山でテュポーンとエキドナの間に生まれたといわれるが、活火山リュキアスをキメィラという
怪物にたとえたのかもしれない。

Key Word Origin
ヘルマフロディトス ギリシャ神話

 美と愛の女神アプロディテとヘルメスの間に生まれた美しい少年。生まれてすぐにイデ山のニンフたちに養育されていた。あるとき、サルマキスの泉のニンフが、成長したヘルマフロディトスに一目惚れし、求愛を繰り返すが、15になったばかりの彼は恥ずかしさからニンフを拒んでいた。これに怒ったニンフは神々に訴えた。「何者も私たちを引き離すことが出来ないように」と。そして二人の体は結びつき、男でも女でもなく、男でもあり女でもあるように変化してしまった。悲しみにうちひしがれたヘルマフロディトスは、泉で水浴する者の性を奪う力を天に願い、以来、サルマキスの泉で水浴すると男性は不能になってしまうと伝えられる。
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