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Fantasy |
★ |
Horror |
― |
Healing |
★★★★★ |
Eroticism |
★ |
Story(かぼちゃのばしゃ)
大金持ちの大おばあさまの話し相手として呼ばれたクリシニーラは、シンデレラを夢見てサセックスの田舎からトレヴァス家にやってきた。しかし大おばあさまは2週間前に亡くなっていて、当主のシリル・トレヴァスは横暴で、やり手のルーマー夫人はクリシニーラを小間使い以上にこきつかう。彼女の話を聞いてくれるのは、シリルのとりまきの一人で風変わりな男の子ピエロだけ。そしてトレヴァス家のダンス・パーティーの夜、時計はもうすぐ12時になろうとしていた・・・
シンデレラならぬクリシニーラは、山岸作品にしばしば登場する独自の饒舌キャラ。はたして彼女はシンデレラになれたのか、なれなかったのか・・・?夢の中でかぼちゃの馬車を食べてしまったり、とにかく登場人物の個性が魅力の山岸流ラブ・コメディの傑作。
Key Word |
Origin |
シンデレラ |
シャルル・ペローの童話
グリム童話 |
絵本やディズニー映画、そしてこの「かぼちゃの馬車」の下敷きになっているのは、ペローの童話「シンデレラ」(サンドリヨンまたは小さなガラスの靴)であろう。グリム童話「灰かぶり」がペローの童話を下敷きにしていることは有名だが、グリム版には、魔法使いもかぼちゃの馬車も、ガラスの靴もでてこない。
Original Story
ペローの童話「シンデレラ」(サンドリヨンまたは小さなガラスの靴)
裕福な家に父親と病気の母親と年端のいかない可愛い女の子がいた。
病気で死んでしまった母親が死の間際に遺した「神様は善良な人間を助けます」という言葉を胸に彼女は美しく成長した。
しばらくして父親は再婚したが、 その母親は女の子より大きい娘を2人連れてきた。
姉たち以上に女の子のほうが美しかったので、継母と姉たちは彼女にボロボロの服を着せ、小間使いのようにこき使い、かまどのそばの灰の上で寝かせた。いつも灰だらけになっていたので「シンデレ
ラ」(灰かぶり)と呼ばれた。 そんなある日、王子様の妃を選ぶための舞踏会がお城で開かれることになり、継母と2人の姉は着飾ってお城
へ出かけた。 悲しくて泣いていたシンデレラのもとへ魔法使いがあらわれ、美しいドレスとガラスの靴を出してくれた。かぼちゃは馬車に、ネズミは御者になり、シンデレラはお城へ向かう。魔法使いに「12時の鐘の音が聞こえるまでだよ」と言われて。 美しいシンデレラは注目を集め、王子様もその美しさの魅せられるが、12時の鐘の音が鳴り出すとシンデレラは大急ぎで帰ってしまった。ガラスの靴を片方残して。王子様は靴を手がかりにシンデレラを捜しはじめた。
「この靴がぴったり合う娘を自分の妃にむかえる」というおふれを出し、シンデレラの家にも順番がまわってきた。
2人の姉が試してみたが、靴は小さすぎて入らなかった。もう一人娘がいるはずだと、シンデレラも呼ばれて試すとピッタリあった。
継母たちが何かの間違いだと言うと、彼女は隠しておいたもう片方の靴を取り出して見せる。
「捜していたのはあなたです」と、王子様はシンデレラを妃にむかえて、お城へ連れて行った。姉たちも改心したのでシンデレラは彼女たちにも立派な結婚相手を見つけてやり、みんな末永く幸せに暮らした。
Original Story
グリム童話「灰かぶり」
大筋はペロー版と同じなので、違う部分だけを挙げてみる。
● シンレデラの母親が死ぬ間際に、自分の墓の上にハシバミの木を植えて、困ったことがあると枝を揺すりなさいと遺言した。
● シンレデラの母親が生きている頃から父親は継母と付き合っており、姉たちは血のつながった異母姉妹である。
● 継母たちが無理難題(良い豆と悪い豆を時間内によりわける等)を出したとき、シンレデラがハシバミの枝を揺すると小鳥たちが助けてくれた。
● 舞踏会の夜に助けてくれたのは魔法使いではなく、例の小鳥たちが姿を変えてシンデレラのしもべとなり彼女を美しく着飾りお城へ送り届けた。
● ガラスの靴ではなく黄金の靴。
● 王子様のおふれで靴を試すときに、2人の姉たちは継母の言うままに、つま先とかかとをナイフで切り落とした。血に染まった靴の真実を告げたのも例の小鳥たち。
● 結婚式の日、シンレデラのおこぼれにあずかろうとお城へやってきた姉たちは、小鳥たちによって眼球をつつき出されてしまった。
● シンデレラと死んでしまった母親は魔女もしくは邪眼の持ち主であり、父親が家へ閉じ込めていたという解釈もある。