by 「たけのこ書林」店主の田中正吾さん
思いつくままに選んだので、あまり順位は関係ないです。
リサイクル型古書店や街の古本屋で入手しやすい作品を
念頭に選んでみましたが、
6と10の入手は難しいかもしれません。
どうぞ気楽〜にお読みください。
絶版マンガ「たけのこ書林」でのチェックもよろしく!
(このサイトのムードを乱してるなァ・・・)
順位 | 作品名 | 作家名(収録本) | コメント |
1 | 「白い影法師」 | 美内すずえ (講談社・KCミミ) |
言わずと知れた屈指のエンタテイメント作家の真骨頂!美内先生お得意の心霊モノの中でも驚愕度ではピカ一でしょう。特にあの頁でのあの大コマは・・・。怖さに加えてカタルシスも味わえますぞ。 サスペンスの傑作「泥棒シンデレラ」「孔雀色のカナリア」(共に 角川ホラー文庫「人形の墓」に収録)もお見逃しなく! |
2 | 「地獄でメスがひかる」 | 高階良子 (講談社・KCなかよし) |
マニア受けはもひとつですが、広く大衆に支持され続ける高階先生の名作です。醜い容貌の少女が天才的医師のメスで美しく生まれ変わる・・・と言うドラマチックなストーリーで、ツボを心得た展開にハラハラさせられました。小学生が読むには充分怖かった〜。 |
3 | 「血まみれ観音」 | 高階良子 (講談社・KCなかよし) |
もー<血まみれ>ですもん。しかも観音様が血まみれ!!で、いきなり人面瘡の話だから強烈です。横溝正史「夜光虫」の漫画化ですが、高階カラーで仕上げています。 江戸川乱歩を漫画化した「血とバラの悪魔」「ドクターGの島」「黒とかげ」も甘美な怖さで印象深いです。 講談社漫画文庫でも読むことができます。 |
4 | 「洗礼」 | 楳図かずお (小学館・フラワーコミックス・小学館文庫) |
名作中の名作。母親のスター時代のエピソード、先生に対するさくらの言動、かかりつけの医師、先生の奥さんへのあの手この手、美への執着・・・。バラバラですが次から次へと思い浮かぶほどインパクトの強い内容でした。 絵も怖い、ムードも怖い、心理描写も怖い、すべてが怖い!!だから面白いのだっっ。 |
5 | 「亡霊学級」 | つのだじろう (秋田書店・チャンピオンコミックス) |
怖いと言うより気色ワルい作品でしょうか。いや、再読するのがためらわれるんだから、やっぱり怖さも格別か。 ピチョンと水がしたたる話と青虫を食べる話が、今思い出しても顔をしかめるぐらいの恐怖感あり。 未読で勇気ある方、どうぞ読んでみてください。 |
6 | 「死人契約」 | わたなべまさこ (若木書房ティーンコミックス・デラックス「モナリザの部屋」収録) |
怨霊も出てこなし復讐ストーリーでもないのですが、冒頭、舌の腫瘍をメスで切り取り、止血のため焼きごてをあてるシーンの怖いこと!!そうなのです、これはわたなべ先生の作品の中では社会派であるにもかかわらず充分に怖いのです。麻酔薬のない外科医学の暗黒時代を描いており、まるで<裏・華岡青州の妻>って感じです。 |
7 | 「汐の声」 | 山岸凉子 (文春文庫ビジュアル版「わたしの人形は良い人形」収録) |
語り尽くされている山岸作品だけど、やっぱりこれは選びたいです。改めて読んでも、その伏線の張り方、人物構成、ペンタッチなど完璧な出来の山岸ワールドです! ジワジワと忍び寄る恐怖感を味わえるのは、至福の歓びのような気さえしてくるほど・・・。 何を読んでもハズレ無しの山岸先生ですが、特にシチュエーションの見事さから「汐の声」にしました。 |
8 | 「どぶさらい劇場」 | 山野一 (青林工藝舎) |
あまりにも猥雑で赤裸々で五臓六腑にしみわたる怪作です。後半、観念的になりすぎるのが悔やまれるがラストはブラボー!でも絵柄で拒否反応を示す人も多いのかな? 故・ねこぢるの夫君なんですね。知りませんでした。 |
9 | 「妖子」 | 池田理代子 (集英社・セブンティーンコミックス) |
悪行三昧の女と悪魔が契って生まれた少女・妖子(あやこ)。人の心理の推移、かけひきの描き方には怖いものがあります。 華麗でコージャスな理代子先生の画力もさることながら、原作の池田悦子先生のストーリーテラーぶりにも拍手です。 |
10 | 「幻影」 | 成毛厚子 (東京三世社・マイブックス) |
日常生活の落とし穴的側面で怖がらせてくれます。誰もが体験しそうな出来事を、的確な描写でサラッと読ませる技術はもっと評価されて良いのでは!? 短編がこの人の持ち味を活かしています。 KCフレンドより多数作品あり。 |
(2001.1.10.)
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