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丸尾末広の怖いマンガ

by「漫画の館」のワードナさん

丸尾作品には背筋がぞっとするとか、身の毛のよだつといったような怖さはない
しかし美しく描かれた狂気の世界は読む者を陶酔させていき、その虜にしてしまいます
丸尾作品の真の怖さはそこにあります

順位 作品名 発表年と収録本 コメント
「笑う吸血鬼」 1998年
(秋田書店「笑う吸血鬼」)
とにかく美しい!丸尾氏の描く絵、語られる言葉の全てが美しい。あの醜悪なはずの駱駝婆まで怪しく美しく感じてしまう。怖いのは作品ではなく、こんな風に感じてしまう読者が存在してしまう事かもしれない。
「少女椿」 1984年?
(青林堂「少女椿」)他
怪しく、いかがわしく、得体のしれないモノに惹かれてしまう危うさと素晴らしさを実感できる作品です。舞台は見せ物小屋、登場人物は、いかにも怪しい面々、そう気分は乱歩か久作です。ガラス張りの現代社会にないロマンがあります。
「犬神博士」 1991年
(秋田書店「犬神博士」)
最も恐ろしいモノは人のもつ悪意や殺意ではないでしょうか。怨念が形になったような式神はまさに恐怖の化身です。この終わることのない因果地獄の中にいる登場人物はまさに私たち自身かもしれない。蠱毒を造るため「地球」と言う壺の中で勝ち残った孤独な毒虫、それが人間なのでは・・・
「無抵抗都市」 1993年
(青林堂「月的愛人」)
丸尾氏の作品の多くは狂気の中に美しさや笑いが存在する。しかしこの作品にあるのは「闇」です。ひたすら暗く救いようもない心の闇。素直に怖い作品です。
「意志の勝利」 1986年?
(河出書房新社「パラノイア・スター」)
描かれている絵と同様に、言葉にも計り知れない魔力を感じる丸尾作品。エドガー・アラン・ポーがそうだったように丸尾氏も詩人として恐るべき才能を持っているように感じてしまう。魔人の読む詩は狂気への扉を開きます。
「童貞厠之介」 1981年
(青林堂「薔薇色ノ怪物」)
丸尾氏のうんこ漫画の決定版。便器の中に捨てられた赤子がうんこの中で育ち、うんこの海をクロールで泳ぐ・・・とにかく、うんこの海で溺れ死ぬ事ほど恐ろしいことはないでしょう・・・
(2000.11.15.)
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