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Prince 2002.11.28. 大阪城ホール

プリンスのコンサートは、なんと3時間ぎっしりの濃ゆ〜い内容だった。興奮さめやらず昨夜からず〜っとCDを聴きまくっている。「LOVESEXY」までアナログ盤で揃えていたので、この来日にあわせてCD購入しなおして。プリンス関連の掲示板をいろいろチェックして(殿下マニアBBSとか、いろいろあってどれも濃ゆい)、万全の体勢で大阪城ホールに乗り込んだ。
プリンスのイメージにあわせて、パープルのジーンズにカラスの羽根みたいなマフラー(ひとつ間違うと美輪明宏?)といったスタイルで。観客層は同年代(プリンスと私も同年代)くらいが圧倒的に多かった。一人で来ている人も多く、それぞれが不思議なスタイルだ。なぜか被り物している人が目についた。ラズベリーベレーの女の子もちらほら。流行と関係のないヘンな格好した人がけっこう多く、プリンスらしい非日常的な雰囲気をかもしていた。

ライブは7時の開演時間きっちりに始まった。席はアリーナの14列目。肉眼でも十分見れたけど、かなり大きめの会場なんで双眼鏡持っていってお茶目な表情まで拝みたかったな。幕開けはプリンスのドラムソロ。とにかく今回はプリンスがあらゆる楽器を弾きまくり!テクとかそういうのを超越してプリンスというジャンルの音楽が存在した。

1曲目の「Rainbow Children」の途中でJB’Sのメイシオ・パーカーが客席から演奏しながら登場!JB’Sの大ファンである夫は大興奮。大先輩で尊敬するメイシオの演奏中、プリンスは終始「メイシオ〜!」と叫んでいた。次はポップに「Pop Life」!かなりアレンジを変えていたが、大好きなアルバムからの選曲が嬉しかった。

続いてはダンス大会だ。プリンスが「You!You!」と1列目のファンを指名してステージに上げる。4人中3人はめちゃウマで、これは仕組まれていたのか?って穿った見方をしてしまうほど。ほんとプリンスのプロモで踊る人たちみたいに巧いんだから。仙台かどっかでは、ステージに上げられたオジサンが志村けんの「ひげダンス」をやったとかで、それを見たプリンスが「ARE YOU FUNKY?」って一緒に志村けん踊りしてくれたとか。それはゼヒ見たかった!

次は、アノ紫のヘンなギターに持ちかえた。そう「Purple Rain」だ。フルバージョン演奏に感動!「Huu…」とコーラスをつけていてノドがカラカラ。でも心地よい。そして「Housequake」では飛び跳ねっぱなし。続く「Love Rollercoaster」はオハイオ・プレイヤーズのカバーだ。

今回はあちこちでセットリストが全然違っていたが、カバー1曲は必ず演奏していたようだ。他ではサンタナメドレーやツェッペリンの「胸いっぱいの愛」(これは意外なので聴いてみたかった)、グラハム・セントラル・ステーションのカバーなどやったようだ。オハイオは大好きなんでとても嬉しかった!

最新アルバム「THE RAINBOW CHILDREN」からの曲が多く、昔しか知らないファンのノリがちょっと悪かったのか、プリンスが「じゃ、これで帰るね」というブラックコンサートではお決まりのパフォーマンス。しかし「NO!」と言うべきところを日本のファンは何でも「イエ〜」なんだから。何を呼びかけても「イエ〜」という日本人。これは外タレ内では有名なギャグになっているそうだ。

中盤、メイシオが再びメインに。往年のヒット曲「Pass The Peas」を演奏。ブルーノートでJB’Sを何度か聴いているが、小さなステージでのほうが音は格段に良いように思う。

その後、またまた1列目からファンを呼び出してステージでダンス。今度は呼ばれていないのに後ろのほうから白人男性3人が次々にステージに上がり…メイシオらホーンセクションの前に立ちはだかって踊りまくっていた。いくら嬉しいからってこれはヒンシュクもの。

続いてかなり昔の「When U Were Mine」。このあたりのプリンスも可愛い。大好きな「Sign Of The Times」「Take Me With U」と続き、足が痛くてもかまわず踊りまくった!
そして本編終了。

ああ、あっという間…しかしアンコールがなんと3回あったのだ!
1回目のアンコールはピアノで弾き語りメドレー。「Adore」「Condition Of The Heart」「Do Me Baby」「I Wanna Be Your Lover」「Diamonds & Pearls」「The Beautiful Ones」「Nothing Compare 2 U」「The Ladder」「Starfish And Coffee」「Sometimes It Snow In April」と涙、涙のラインナップ。現代のモーツアルトってどこかで書かれていたの言い過ぎじゃない?って思ってたけど、そんなことないかも。この誰にも真似できないオリジナルなメロディラインこそプリンスそのものだとしみじみ。

何度も「サヨナラ〜オオサカ!」と言って引っ込んだ。すぐに客電ついて、あれだけたくさんアンコールしてくれたんだからこれで終わりかな?と思いつつもアンコールの拍手してたら、ほどなく殿下登場!歓声と共にアリーナの後ろのほうからステージ前の通路に多くのファンがドドッと押し寄せた。
そして客電ついたまま、ファンキーに「Peach」「Days Of Wild」(これはファンクラブだけで発売されていて正規盤には未収録。私は会場で購入)を演奏してくれた。再び引っ込んでから、さらに拍手していると、再度プリンスが出てきて、あのいたずらっぽい表情で「Good Night!」だけ言って引っ込んだ。さすがに終わりかな?でもさらに(観客もシツコイ)拍手していると、今度はアコースティック・ギターを抱えて出てきてくれたのだ!「Alphabet St」のイントロをジャカジャカやって、「これはやめとこう」って言いながら、「THE RAINBOW CHILDREN」からの名曲「Last December」をじっくり聴かせてくれた。美しいメロディラインとサービス精神にまた涙。時計を見ると10時をとうにまわっていた。

後で聞いたのだが、プリンスのファンクラブ(NPGといって各国にある)主催で、コンサートのあった夜はどこの国でもたいていアフターショウがあるらしい。近場のクラブなどを貸切で。プリンスやメンバーはVIPルームかDJブースから手をふってくる程度らしいけど、昨夜はご機嫌だったようで、アメリカ村のクラブで至近距離で「KISS」他歌ってくれたらしい。うーん、うらやましい。次回はゼヒ参加したいものだ。

全体的な感想。
プリンスって才能あるアーティストではあるが、同時に「芸人」だと思う。音楽的に優れているけどシャチホコばっていないし、ステージ構成、ファンとのコミュニケート、独特の美意識を大切にしている。非日常的な世界をこちらにかいま見せてくれるようなドラッグ・クィーンのプロ根性に通ずるところもある。

「THE RAINBOW CHILDREN」は今までのどのアルバムとも趣が違うし、ホントにプリンスってプリンスにしか真似できないことしかやらない(元○○なんて芸名つけるか?ふつう)。ファッションだってそうだ。今回の衣装、最初はゴルチエの黒のスーツでフツーやなぁと思っていたが、アンコールの純白の衣装は期待を裏切らなかった!上着のすそが5メートルくらいあって、ピアノを弾いているときには何となく「鶴の恩返し」を連想してしまった。この後「けーん、けーん」って飛んでいくのでは?って不安になったりして。

そういえば、プリンスがライブでカバー曲をやるのは珍しいのではないか。彼のカバーをするミュージシャンが多いのは有名だが。
プリンスをとりあげたミュージシャンをざっと挙げてみる。シンニード・オコーナー、シンディ・ローパー、チャカ・カーン、ホリー・コール、シーナ・イーストン、バングルズ、マライア・キャリー、パティ・スミス、最近ではグラミー新人賞のアリシア・キーズ…と女性がやたらと多い。男性では、ロッド・スチュアート、ベック、トム・ジョーンズ、ハービー・ハンコックやジャズの人たちによくカバーされている。女性とオジサンに人気あるのだろうか。
プリンスはミュージシャンに人気がある。故マイルス・デイビス、クラプトンやボウイー、ミックらは有名だが、こないだのポール・マッカートニー来日のパンフに、ポールの好きな曲としてプリンスが挙げられていた。意外だったが何となく嬉しかった。


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