VAMP NECROPHILIA ANOTHER SEXUALITY
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サイコ

白い恐怖(1945)
監督 アルフレッド・ヒッチコック ある病院に、バランタインという医師が赴任してきた。彼は白地に縞模様を見ると発作を起こす不思議な癖を持っていた。やがて、彼の代わりに来るはずだったエドワーズ博士が、行方不明になるという事件が起こる。そしてバランタインが疑われるが、女医コンスタンスだけは彼の無罪を信じ、発作の原因を追求する・・・

主人公がみる悪夢シーンの美術はサルヴァドール・ダリが担当。今観ると斬新ではないが、1/4世紀も昔に制作されたと考えるとすごい。精神的外傷を描いたサイコ・スリラーの古典。
原作 フランシス・ビーディング
出演 イングリッド・バーグマン
グレゴリー・ペック
レオ・G・キャロル
ホラー度 ★★
グロテスク度
アート度 ★★★


サイコ(1960)
監督 アルフレッド・ヒッチコック 会社の金を横領した女が立ち寄ったベイツ・モーテル。そこには管理人の青年ノーマンと離れの一軒屋に住む年老いた「母」がいた・・・

ヒッチコックの代表作であり、すべてのサイコ・スリラーのルーツである。ノーマンと母が住む家の映像、シャワー室の映像などはパロディ化もされたりして伝説となった。ノーマンといえば神経質風の美青年アンソニー・パーキンスのイメージが強いが、ロバート・ブロックの原作では、照れ屋で親切なメガネをかけた太った男という設定になっている。そしてノーマンの原型は、あまりにも有名な元祖サイコパス、エド・ゲイン。「悪魔のいけにえ」「羊たちの沈黙」などに登場するサイコパスのモデルでもある。
原作 ロバート・ブロック
出演 アンソニー・パーキンス
ジャネット・リー
ジョン・ギャヴィン
ホラー度 ★★★★
グロテスク度 ★★
アート度 ★★★


何がジェーンに起こったか?(1962)
監督 ロバート・アルドリッチ 古い屋敷にブランチとジェーンという姉妹が暮らしていた。ジェーンは可愛らしい子役として一世を風靡したが、成長してからはさっぱりで、美しいブランチの下で鬱屈した生活を送っていた。そんなある日、ブランチが事故で半身の自由を失ってしまう。立場の逆転したジェーンは、今までの鬱憤を、陰湿ないじめで晴らそうとする。ブランチは、ジェーンのもとから逃げ出そうとするのだが・・・

女優姉妹確執モノ(?)の元祖であろうか。ベティ・ディヴィスのサイコな演技がリアルである。海辺のラストシーンも印象的。
原作 ヘンリー・ファレル
出演 ベティ・ディヴィス
ジョーン・クロフォード
ホラー度 ★★★
グロテスク度
アート度


コレクター(1965)
監督 ウィリアム・ワイラー 蝶のコレクターである若い銀行員フレディは、ある日、フットボールの賭で大金を手に入れ、そのお金で人里離れた別荘を購入する。彼の目的は、若く美しい女性ミランダを自分の標本コレクションの一つとすることだった!麻酔によってフレディに拉致監禁されたミランダ。手を触れるわけでもなく、ただじっと観察を続けるのだが・・・

フレディとミランダの心理的駆け引きが面白い。ミランダは言う。「あなたの欲しいものはお金?それともセックス?」しかし、フレディの動機はそのどちらでもなかったのだ。有機体ではなく無機体に魅力を感じる青年フレディを、無機質な雰囲気で演じたテレンス・スタンプその人がこの映画の魅力になっていると思う。(ミランダを演じたサマンサ・エッガーのほうが受賞数が多かったのは、時代にもよるのだろうか)
原作 ジョン・ファウルズ
出演 テレンス・スタンプ
サマンサ・エッガー
ホラー度 ★★★
グロテスク度 ★★
アート度 ★★★


殺しのドレス(1980)
監督 ブライアン・デ・パルマ 美術館で出会った男と行きずりの情事を楽しんだ人妻が殺される。事件を目撃した娼婦と、被害者の息子は犯人捜しにのりだすが・・・

ブライアン・デ・パルマ独特のカメラ・ワークと演出で魅せるサイコ・スリラー。同時にサイコ・スリラーの古典ヒッチコックの「サイコ」へのオマージュでもあろう。ヒッチコックが浴室ならこちらはエレベーターという密室の恐怖。どちらも本当に怖い。異常心理とトランスヴェスタイト(異性装趣味)を同列に語る根拠は何もないが、上の「テナント」といい、このあたりも「サイコ」の影響だろうか。(でもホントにマイケル・ケインって役を選ばない・・・)
原作 ブラム・ストーカー
出演 マイケル・ケイン
ナンシー・アレン
アンジー・ディッキンソン
ホラー度 ★★
グロテスク度 ★★
アート度 ★★★


ミザリー(1990)
監督 ロブ・ライナー 雪山で事故に遭遇したベストセラー作家を助け出した女性ファン、ミザリー。身動きのとれない作家は彼女のロッジで看護を受けるが、次第にミザリーの異常なファン心理が浮かび上がってくる・・・

ストーカー心理はファン心理とある部分で重なる。好きなスターのためなら、好きな作家のためなら、すべてを厭わないという心理の奥には、スターを支配したいという欲望がかくされているのかもしれない。「恐怖のメロディ」「ザ・ファン」などの映画もあるが、実際に起こった有名人へのストーカー行為は少なくなく、ジョン・レノン狙撃事件も異常なファン心理が引き起こした悲劇であるといえよう。この映画は「小説」という媒体を通して、異常な心理を浮かび上がらせているところが面白い。キャシー・ベイツのアカデミー主演女優賞は納得である。
原作 スティーヴン・キング
出演 キャシー・ベイツ
ジェームズ・カーン
ローレン・バコール
ホラー度 ★★★
グロテスク度
アート度


ケープ・フィアー(1991)
監督 マーティン・スコセッシ レイプの罪で長い間刑務所に入っていたケイディは、自分を救えなかった弁護士一家に復讐の念を燃やしていた。彼の魔手は徐々に、弁護士の家庭にのびてゆく・・・

ジョン・D・マクドナルド原作による「恐怖の岬」(1962)のリメイク。マーティン・スコセッシらしい大仰な演出も見られるが、基本的にはオリジナルに忠実に撮られている。全身に怨恨イレズミを施したデ・ニーロの狂気の演技はさすがというしかない。パラノイアックなまでに怨念を積み重ねたサイコパスをリアルに演じている。「タクシー・ドライバー」「ザ・ファン」そして「キング・コブ・コメディ」の危なさぶりには、どこか共感さえおぼえたが、この作品のケイディには得体の知れぬ恐怖を感じる。
原作 ジョン・D・マクドナルド
ジェームズ・R・ウェッブ
出演 ロバート・デ・ニーロ
ニック・・ノルティ
ホラー度 ★★★
グロテスク度 ★★
アート度


羊たちの沈黙(1990)
監督 ジョナサン・デミ 女性を殺害しその皮を剥ぐという猟奇事件が続発。FBIは、元精神科医の殺人鬼ハンニバル・レクターに示唆を受ける試みを始め、訓練生ながらその任に選ばれたクラリスは獄中のレクターに接触する・・・

原作はトマス・ハリスの同名小説。前作「レッド・ドラゴン」に登場し鮮烈な印象を残した狂気の天才レクターを再びフィーチャーしている。先にも挙げた猟奇殺人者エド・ゲインをモデルとしたバッファロー・ビルよりも、獄中のレクターのほうが数倍怖いのは、アンソニー・ホプキンスの卓越した演技力と存在感のせいだろうか。クラリスを演じたジョディ・フォスターも、バッファロー・ビルの家で見せた恐怖がこちらにリアルに伝わってきてすばらしかった。アカデミー賞の作品・監督・主演女優・主演男優賞といった主要部門を独占受賞。
原作 トマス・ハリス
出演 ジョディ・フォスター
アンソニー・ホプキンス
スコット・グレン
ホラー度 ★★★★★
グロテスク度 ★★★★★
アート度 ★★★


ルームメイト(1992)
監督 バーベット・シュローダー ケンカして同棲相手を追い出したアリーは、経済的理由からルームメイト募集の広告を出した。それを見てやってきたヘディは、アリーとはまったくタイプの違う女性だったが、二人は互いに意気投合する。しかし次第に、へディはアリーの真似をするようになって・・・

原作はジョン・ラッツの「同居人求む」。女同士でしか起こりえない確執というのか、女性にしかわかりえない不快感というのか、徐々に恐怖を盛り上げていく演出が緻密ですばらしい。次第に「存在」が乗っ取られていく恐怖も現代的なテーマといえるかもしれない。
原作 ジョン・ラッツ
出演 ブリジッド・フォンダ
ジェニファー・ジェイソン・リー
スティーヴン・ウェヴァー
ホラー度 ★★★
グロテスク度
アート度


セヴン(1995)
監督 デヴィッド・フィンチャー キリスト教の「七つの大罪」になぞらえた猟奇的かつ不可思議な連続殺人事件が起こる。そして殺人鬼を追う老刑事と若い刑事・・・

ブラッド・ピット人気のためか、日本でも大ヒットしたが、ラストも簡単に見えてしまうし、スリラーというよりは刑事ものといった感じ。ただ、シリアル・キラー、ジョン・ドゥその人についてのエピソードがほとんど語られておらず、動機が「聖書」だというところが不気味である。一見何の特徴もなさそうな男が、神に代わって裁きを行うといった狂信さが怖い。
出演 ブラッド・ピット
モーガン・フリーマン
グヴィネス・パルトロー
ケヴィン・スペイシー
ホラー度 ★★
グロテスク度 ★★
アート度


テシス(次に私が殺される)(1996)
監督 アレハンドロ・アメナバール スナッフ(殺人)ビデオを題材にしたスペイン映画。暴力ビデオを論文にまとめようと考えている女子大生が、担当教授を死に至らしめた1本のビデオを入手する。そこに映っていたのは、過去に失踪した同じ大学の女子学生の残酷きわまりない殺人シーンだった・・・

物語そのものは、謎を追っていくうちに巻き込まれるという展開で、特に目新しくもない。殺人ビデオの映像もあまり映し出されないが、女子大生の脅える表情で間接的に猟奇的ないかがわしさがうかがえる。主役の女子大生は「ミツバチのささやき」のアナ・トレント。ビデオ・マニアの男子学生も面白い味があった。ホラーというよりサスペンス色が強い。
出演 アナ・トレント
フェレ・マルティネス
エドゥアルド・ノリエガ
ホラー度 ★★
グロテスク度
アート度 ★★

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